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「(事前に)何も中身言ってませんからね。二郎さんのあの真剣さといったら、すごいですよ。暗号もあって、困ったら二郎さんは笑うんですよ。そしたら、僕が方向転換する。二郎さんは舞台から帰るのも速かったね~。明治座でも自分の出番が終わったらお風呂入って、袖にカバン置いてありますから。緞帳が下がると、衣装を脱いですぐ帰っちゃう。それをね、ギャグのようにやっている人。その分、コントで勝負してるから良いんです」

1969年~70年に日本テレビで放映された「コント55号の裏番組をぶっとばせ!」の収録の様子

収録先を浅草の松竹演芸場と決め、コントの間にストリップを入れた

 紅白の裏番組『なんてことするの!?』の原型である『コント55号のなんでそうなるの?』(1973年4月~1976年3月放送。途中休止あり)で、萩本は敢えて男性客ばかりにしてほしいと要望した。すると、齋藤太朗ディレクターは収録先を浅草の松竹演芸場と決め、コントの間にストリップを入れた。自然と客は絞られた。

「コントやる時、(観客が)おっさんじゃないとダメなんですよ。大人の男って笑わないでしょ? その人たちをどうやって笑わすか考える。辛いですよ。でも、その苦労が良い番組にする。子供はよく笑ってくれて嬉しいんだけど、そっちに受けようとしちゃうと、中身が軽くなるんですよ。『なんでそうなるの?』は、男性客の笑い声が響く珍しい番組だと思いますよ」

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©️文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

ドリフの長介さんは「同じコメディアンとして心意気がうれしい」

 紅白への無謀な挑戦は放送前から話題になっていた。当時、土曜夜8時の枠で視聴率争いをしていたドリフターズのいかりや長介との対談でも『紅白歌合戦をブッとばせ!!』の話に及んでいる。

長さん 国民的シャレとして、ある時間、突然、だれも『紅白』を見なかったら、きっと歴史に残るんじゃないの?(爆笑)

 

欽ちゃん そんなだいそれたことはいわないけど、『紅白』の歌と歌の間にチラッとでもいいから、こちらも見てくださいとお願いしたいですね。

 

長さん 同じコメディアンとして、その心意気がうれしいよ。〉

 

(1976年1月8日号・週刊平凡 ※原文ママ)