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そして迎えた年越しの瞬間

 年越しの瞬間を迎える数分前から目立ち始めたのがスマホを頭上に掲げ、写真・動画を撮影する人の姿だ。

多くの人がスマホを掲げていた ©文藝春秋

 ライブハウスで憧れのミュージシャンを撮影するかのように、人が集っているさま、もしくは、何も映されていない大型ビジョンにスマホのカメラを向けていた。

 そして迎えた年越しの瞬間。どこからともなく上がる歓声、クラッカーの「パンッ!」という音、盛り上がりを抑えようとする警察官の声が混ざり合う。

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「エグいって! この後どうすんの!」「ハッピーニューイヤー感あるな、エモいなこれ!」「マジでやべえ!」……。「立ち止まらないでください!」「駆け出さないでください」「前の方に続いてゆっくりとお進みください」……。

 方々から大音量でさまざまな言葉が聞こえ、狂騒という表現が適当に思われる空間がそこにはあった。

 なお、2年ぶりに再開された鉄道終夜運転の恩恵もあり、カウントダウンの余韻をしばらく味わった後に渋谷駅を目指す人も。

渋谷駅を目指す人々 ©文藝春秋

 そして、徐々に渋谷駅前からは人が減っていき、深夜1時を過ぎる頃には普段の渋谷と大差ないほどの人出に。駅前の“密”状態はずいぶん緩和していた。

深夜1時を過ぎる頃にはわずかな人出に ©文藝春秋

 一方でカウントダウンを終えてからも、その場に留まる人もおり、複数人の男性グループが女性に声をかける姿が見られた。