文春オンライン

《費用目安は100万円》「親を捨てたい」という声の高まりで5年の間に相談者数が5倍に増加…終活をサポートする“家族代行サービス”の実態

『絶縁家族 終焉のとき―試される「家族」の絆』より #1 

2022/01/10
note

家族代行サービスとは?

 一般社団法人LMNの場合を例に、家族代行サービスではどんなことを頼めて、どれくらいの費用が必要なのか見ていきたい。

 まず、高齢者本人ではなく、依頼者である家族をサポートする目的のサービスであることがポイント。

 登録料の16万5千円とコンサルティングの費用(医療・介護、相続関連、お片付け、葬儀・供養、マネー〈保険・年金〉)を含む、お得な33 万円のトータルパックを申し込む人が多いそうだ。(実施費用は別途必要)

ADVERTISEMENT

 パックではなく、必要なサポートを個別に選択することも可能だ。

 それに生活サポートサービス・各種代行業務、定期訪問、緊急時の駆け付け、同行援助や、入所や入院等の手続き・行政手続き代行やサポートなど多種にわたって一回1万1千円(税込み)で頼むことができる。

 訪問などの生活サポートは必要になってから始めてもよい。遠方の場合以外は交通費も含まれる。

 自分で面会や差し入れに行く場合にも交通費は当然かかる。仕事の休みを取るためのリスクや費やす時間も考慮して、自分にとっての利用価値を考えてみるのもよいかもしれない。

 介護施設の選定から納骨までの仲介と手続きをすべてサポートしてもらえる。

100万円が費用の目安、相談者は親の介護に苦しむ40代~50代

 だいたい100万円が費用の目安で、死後までの相談、紹介のコンサルティングと生活サポートを含めて必要になる。80歳くらいからサポートして、5~7年間くらいで他界するケースが多いそうだ。

 だいたい80歳前後の親のための依頼が多い。介護施設に入るなど、何かしら不調が出てくる年齢でもある。相談者の大半は親の介護に苦しむ40代~50代の女性だという。

 契約する際は依頼者の希望を詳しく聞き、葬儀と納骨の費用を確実に残す計画で、預貯金や年金自給額に合わせてプログラミングをし、途中で見直し、変更も可能だ。

 家族と上手く関係が築けない親の場合、介護施設でも問題を起こして退所を求められる場合が多いそうだ。その場合の転入先の相談や紹介にも応じているという。

 施設入所後も何かと本人からの伝言があるなど施設を通して頻繁に連絡が来ることもあるが、第一連絡先となってもらうことで、家族には必要なことのみの連絡にとどめられ、本人との距離が保てるという。

 葬儀の手配と代行や立ち会い、菩提寺との交渉や納骨の代行、遺品整理、家の売却などと利用者の死後のサポートもしてもらえる。