青山学院大が10時間43分42秒という驚異的な大会新記録を叩き出し、総合優勝を果たした第98回箱根駅伝。今年は、昨年優勝を飾った駒澤大の記録(10時間56分台)でも7位相当という高速レースとなった。10年以上、塗り替えられなかった1区と9区の区間記録もついに更新。すべての区間記録がこの3年以内に出されたものとなった。
この高速化はシューズの影響なのだろうか。そして今大会のシューズはどう変わったのか――。選手の足元をつぶさにチェックしてきた駅伝マニア集団「EKIDEN News」(@EKIDEN_News)の西本武司氏が、選手の足元から最新シューズ事情を紐解く。
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ナイキ優勢、しかし他メーカーも意地を見せた2022年
昨年は出走した選手210人のうち201人がナイキを履き、着用率は95.7%という衝撃的な結果でした。今年もナイキ優勢は変わりませんが154人と減少し、着用率は73.3%。ナイキ以外のシューズを選んだ選手が56人となり、他メーカーが意地を見せて盛り返したと言っていいでしょう。
それでは今年の各選手の着用シューズの内訳を見てみましょう。
・ナイキ 154人
(ヴェイパーフライ最新モデル83人、ヴェイパーフライ旧モデル15人、アルファフライ最新モデル44人、アルファフライ旧モデル12人)
・アディダス 28人
・アシックス 24人(メタスピード12人、プロトタイプ12人)
・ミズノ 2人
・ニューバランス 1人
・プーマ 1人
※文末に出場全選手の着用シューズ一覧を掲載しています。
そして今大会のポイントは、主に3つあります。
・ナイキの旧モデルを履いている選手に共感してしまう理由
・前回、着用者0人だったアシックスの逆襲
・ついにプーマ着用選手が登場
“シューズ界の第一党”ナイキ、最新モデルを履いていない選手は?
今や“シューズ界の第一党”となったナイキの話から。僕が注目したのは最新モデルを履いている選手とそうでない選手との違いでした。
通常、箱根を走る選手には、メーカーから最新モデルが渡されます。今大会であれば、2021-2022年の駅伝シーズンに合わせて発売された「EKIDEN PACK」のアルファフライとヴェイパーフライ。今季の最新モデルは山吹色のカラーリングが特徴です。
ところが前回、前々回のカラーを履いている選手も多かった。これは最新作の提供を受けられず、自腹で購入したシューズを履いているということです。