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「おじさんメール」の例

件名:中国のことや習近平のこと

 

安田峰俊君

 

 私は雑誌の仕事をしています■■です。若いライターの意見をなにか聞いてみたいと考えましてメールを送りましたがこのアドレスでよかったですか。

 私は大学2年生だった1984年にインドとネパールを1人旅した帰りに香港に立ち寄って、中国から移住した大学生に会ったことがあります。当時の中国はまだ貧しく現在のような発展は信じられないことでしたし、5年後に起きる天安門事件からして予想外の出来事でしたが、当時の自分と同年代の若者からは強いエネルギーやハングリーな夢のようなものを感じました。あの上昇志向が翌年の天安門広場につながったのかもしれません。中国にはほかに1998年に旅行して北京と万里の長城に行きました。

 現在の習近平政権の強さというのはまったく予想外のことです。中国はアメリカに対抗して世界の覇権国を目指すという報道もありますが安田さんはどう思いますか(私は自分の経験上それはないようにも思うのですが)。うちの雑誌は月刊▲▲といって会員向けに発行して30年です。中国の習近平政権が何を考えているか、不動産バブルも報じられている中国の経済は崩壊しないか、香港デモやウイグルの問題はなぜ起きたか、中国の宇宙開発はどういう目的があるかなど、簡単な内容でいいので原稿いただけますか。顔を合わせて打ち合わせしたいので電話番号を教えて下さい。

 

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▲▲社 月刊『▲▲』副編集長

■■一郎

無用なコミュニケーションコストを強いる

 文章に文法的な間違いはない。初対面の人に送る文面としてはやや馴れ馴れしすぎる気もするが、露骨に失礼な表現もみられない。

 だが、現在40代以下の現役の社会人なら「勘弁してよ!」と叫びたくなるはずだ。過去、私が似たようなメールを何通も受信した経験から書けば、この手の「おじさんメール」に共通してみられる特徴は以下の通りだ。

・なかなか本題に入らず意図がわかりにくい

・肝心な情報(注文数、価格、日時など)が書かれていない

・改行がすくない、もしくは多すぎる

・自分語りや余分な話が多い

・合理的必然性がない「オンラインだけで完結しない作業」(電話など)を求めてくる

 ちなみに、この上位種には「おじさんメルマガ」という猛者(もさ)もいる。これはおじさんが名刺を交換した相手の“全員”に、勝手にBCCで送りつける、謎の自家製ニュースレターや近況日記だ。有名な専門家の情報配信ならともかく、この手の「おじさんメルマガ」はほぼ無意味な情報の羅列であり、個人的には恐怖新聞の次くらいに受け取りたくない代物である。

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 こうした「おじさんメール」や「おじさんメルマガ」への対処法はただひとつ。たとえ自分が稼働可能な状態でも、この手のメールを送る相手の用件には可能な限り対応しないことだ。