プライベートとビジネスとを問わず、「読みやすいメール」が書けるというだけでスムーズな意思疎通が実現できる場面は多々存在する。裏を返せば、「読みづらいメール」であれば意思疎通に支障をきたすこともあるわけだ。

 ライターの安田峰俊氏のもとにも、そうした「読みづらいメール」が届くことがあるという。ここでは、同氏の新著『みんなのユニバーサル文章術 今すぐ役に立つ「最強」の日本語ライティングの世界』(星海社)の一部を抜粋し、読みづらさが詰まった「おじさんメール」について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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おじさんメールを排除する

 ビジネスメールの定型化しすぎた表現からは人間味が感じられない。しかし、面識のない相手へのメールでは、冒頭に相手の名前を敬称つきで書く、挨拶から書きおこす、簡潔に用件を述べるといった、最低限の作法は踏まえていたほうが無難である。

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 ところが、おそらくゼロ年代前半のネット黎明期にメールの書きかた研修をサボったとみられるおじさんのなかには、作法にとらわれない天衣無縫すぎるメールを書く人がいる。

 ある会員制雑誌の副編集長から私に原稿依頼が来たという設定で具体例を出してみよう。もちろん、次ページで紹介する文例はフィクションだが、私の経験上、全国紙の元記者やテレビ局の幹部などでも、似たようなメールを書くおじさんは何人も存在する。