「格付けチェック」で起きた衝撃の展開
郷ひろみは紅白歌合戦に続き、1月1日には「新春!爆笑ヒットパレード2022」に出演。東京・浅草寺からの生中継に登場し、初詣客を驚かせた。爆笑ヒットパレードの放送が55回目なので「GOGO」にかけて出演したという。縁起を担ぐフットワークの軽さも見事。
さらに同日の夜には、収録ではあるが「芸能人格付けチェック2022お正月スペシャル」にも出演。ここで印象深いシーンがあった。番組後半、格付けチェックを連続で外し「映す価値無し」になってしまった出場者を全員ワンランク元に戻すため、司会の浜田雅功がお笑い芸人の見取り図に土下座させる展開になったのだ。
すると郷ひろみがいきなり、自分もワンランクアップできるなら土下座したいと提案。そしてパートナーのヒロミに、嬉しそうにこう言ったのである。
「だって、頭下げるだけで済むんですよ」
私は思わずコタツで寝転がっていたのを飛び起きた。この一言に、人生いくつもの修羅場を乗り越えてきた人の超越感を見た! すごいな郷ひろみ!
土下座しながら、その行為のバカバカしさを笑い飛ばす感じが、ものすごく爽快だった。
どこか“居心地悪そう”だったデビュー当時
今でこそ唯一無二の陽キャラとして愛される郷ひろみだが、私のアイドル時代の彼の印象はとてもミステリアス。声の高さ、歌の世界観、類稀なるリズム感など、トータルで「明るい、軽い!」というイメージはもちろんあったが、同時に「居心地が悪そう」という感じもあった。日本人離れというか時代離れというか、どこからもはみ出てしまう、そんな個性を持っていた。
例えると、アマゾンの密林に生息する小さな極彩色の鳥が、鳥籠に入っているイメージ。明るい曲で弾けたパフォーマンスをしても、「カックラキン大放送!!」や「ムー一族」でユニークなキャラを演じても、ふと垣間見える哀愁。もちろん、その陰陽もたまらなくセクシー・ユーではあったのだが。「2億4千万の瞳」の画像検索をすると、現在楽しそうに歌う彼とシングルジャケットの差にびっくりする。ジャケットはとてつもなく深刻そうだ。
「お嫁サンバ」の頃だったが、父が郷ひろみを見て「中年になって歌っている姿が思い浮かばん。消えていくやろ」と言っていたことを思い出す。「男はこうあるべき」というゴリゴリの昭和の価値観を持つ父から見ると、高く甘い声と細い身体で歌い踊る彼は不安定極まりなく、「期間限定の存在」に思えたのだろう。そしてこれは、当時の彼を悩ませたイメージの一つだったはず。
お父さんの予想、外れましたね。郷ひろみは年を取るごとに輝きを増し、今や日本を代表するアーティストになっています……。