ああ、変わってゆく!! ひしひしと時代の移ろいを痛感した2021年末の紅白歌合戦。そう来たかという驚きあり、そしてこれまでの色が薄れていく寂しさもあり。

 視聴率は最低を更新したというが、いやいや、いろんな感情が残る印象的な回だった。一つのステージにこだわらず歌唱場所もいろいろ、中継や映像演出も多かった、まさに「風の時代」仕様。特に藤井風による自宅での演奏はド肝を抜かれた。ここまでラフになるのか!

 そんな新時代感満載の紅白だが、白組の先陣を切ったのはバリバリの昭和世代、郷ひろみである。

ADVERTISEMENT

白組では最年長だったヒロミGO

 さすがヒロミGO、毎回ハイテンションで場をあっためてくれるなあ! と嬉しかったが、よくよく考えるとすごいことではなかろうか。というのも、郷ひろみは企画枠以外の出演者で、天童よしみの次に高齢。白組では最年長。トリを務めても全然おかしくないキャリアと実力の持ち主である。

 そんな彼が2曲目で盛り上げ隊長として登場。しかも廊下で歌い始め、シャウトを決め客席後ろのドアから入り、客と肘タッチしつつシンガソンしているのである。 

 若手アイドルと同じテンションで黄色い声援を受ける郷ひろみ66歳……! 違和感や無理をしている感を全く視聴者に抱かせないエネルギーの凄さ。そしてこの順番をOKとする器の大きさよ! いや、そんな風に年功序列で考えてしまう私の思考がもう古いのか。うおお! 本当に毎回紅白は、いろんなことを考えさせられる。

郷ひろみ ©時事通信社

 郷ひろみの紅白歴は長い。初出場はなんと48年前の1973年(昭和48年、楽曲は「男の子女の子」)。その後不出場の年がチラホラあるものの、ほぼ常連状態で2001年まで出場。そこから9年ブランクがあり、2010年に復活。それからは連続出場、しかもトップバッターや2番手が多い。確かに、北島三郎の「まつり」が「明るく壮大に場を締めるパワー」を持つ最高の曲だとすれば、郷ひろみの「2億4千万の瞳」は最強の「幕を開けるパワー」を持つ楽曲である。

 早く出番が終わるのならば、ゆっくり楽屋で休んでいても許されるだろう。しかしそんな気配も郷にはない。それどころか、出演者数人が後ろに並び盛り上げるようなガヤ場面でも、誰よりも嬉しそうに踊っている。

 2019年のチビッ子コーナー「おしりたんてい『ププッとフムッとかいけつダンス』」でもおしりたんていの斜め後ろを陣取り、子どものような笑顔で踊っていた。2021年のミドリーズ「ツバメ」コーナーでも、真っ白な歯を見せニコニコとダンシンしており、ガッツリ目立っていた。

 自分以外の出番も、踊っているときはいっつも本当に楽しそう。それがGOクオリティ!