昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

まさか赤ちゃんと一緒に退席させられるとは

―― 今回、賛否両論ともに大きな反響がありましたが、当初からの想定通りですか?

 緒方 注目される行動だとは思っていましたけれども、ここまでとは……。イギリスやカナダの報道機関からもコメントを求められて、国際的なニュースにまでなっていますから。ただ、まさか赤ちゃんと一緒に退席させられるとは予想外でした。

―― ご家族は、この件について何かおっしゃっていますか?

 緒方 夫は異体同心ですね。自宅に電話がジャンジャンかかってきている状況で助けてくれています。ただ、さすがに疲れ果てて一時は電話線を引き抜いていました。

―― 届いている声の賛否の比率はどれぐらいですか?

 緒方 ご意見としては半々ぐらいですかね。けっこう応援する声も多くなっているように感じます。

―― Twitter上では「#子連れ会議OK」というハッシュタグが流行って、社会的な広がりを見せています。

 緒方 うれしいですね、ああいう動きは。

妊娠中に執務する緒方議員

―― もしも11月22日に戻ったとして、やはり同じ行動を取りますか?

 緒方 仮定の質問にはお答えしにくいですが、自分の行動について「後悔しているかどうか」と問われれば、後悔はしていないです。

 バッシングですとか、他の議員さんの対応を考えるとキツイですけれども、やっぱり誰かが声を上げないといけない。もっともっとみんなにとって幸せな世の中にしていきたいという信念がありますから、せっかく生まれたからには自分のやるべきことを貫き通したいですね。

「パフォーマンスじゃないか」という意見も

―― 最終的なゴールとしては、どのような議会の制度を目指しているのでしょうか?

 緒方 3つほど考えているプランがあります。1つは、子どもを議場に連れていけるようにすること。いつでも授乳したり、赤ちゃんを抱っこできる。

 2つ目は、議会に託児所を設置すること。議会には議員だけではなくて、傍聴者の方もいらっしゃいます。現在、子ども連れだと傍聴は非常に難しい状態ですが、本来は市民の権利なのです。子育てをしている世代が自由に議会にアクセスできるように整備すべきです。実際に傍聴者向けの「子ども室」を整備している自治体もあります。

 もう1つは、子育て世代にも、あるいは障害がある方、病気治療中の方にも当てはまりますが、どうしても議会に出席できない時、市民の代弁者である議員の意見がきちんと反映できるシステムを作る。実際に北欧などで導入されている例としては、議案への賛否について代理投票できたり、書面で質問ができたりします。テレビ会議などを通じて発言権を保証する仕組みを作ることも有用です。多様なバックグラウンドを持つ議員を増やし、より住みやすい世の中を作る政策の実現につなげたいと考えています。政策提供のニーズが多いグループの当事者には、どんどん議会に入ってきてほしいです。

―― 一方、緒方さんの「子連れ出席」をめぐっては、インターネット上では多くの批判も見受けられます。特に目立ったのが、「パフォーマンスじゃないか」という意見でした。

 緒方 パフォーマンスですか……。やむにやまれぬ行動と言いますか、見えない声を体現化しようという出発点ですので、もちろんメッセージ性のある表現であることは間違いありませんが、「パフォーマンス」という言葉には違和感があります。