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「子育て世代が議会を傍聴したいと思ってるのかな?」

―― 「話し合いで解決するべきだ」との声もあります。

 緒方 これまで話し合いはしてきましたが、他の議員さんに話しても「まず事務局に話して」と言われ、事務局に話すと「個人で対応して」と言われてしまう。他にも、傍聴者用の託児施設設置について調査をしてもらったり、その設置を他会派に呼びかけたりもしましたが、どうも否定的な意見が多かったのです。「子育て世代が議会を傍聴したいと思ってるのかな? そうでもないんじゃないか」とか、すでにインターネットでの議会中継は行われていますが「インターネット環境を整えるほうが先じゃないか」といった意見が出て、なかなか理解が得られなかった。私が1人会派なので、議会運営委員会や議会活性化検討会などの公式の場に上がれないという事情もありました。

 各会派の代表者が集まる団長会議で議題にしてくださいと何度も働きかけをしても、「今回は時間がなかった」「じゃあまた」と。そんなことの繰り返しでした。そもそも、団長会議は非公式な会議で、私は民主主義的ではないと思っている機関ですけれども、慣例として議会の運営が決められているのです。

「母親といることの幸せ」を感じる

―― 「赤ちゃんがかわいそうだ」という意見もありますが、どうお考えですか?

 緒方 私も自分で子育てを体験してみて初めてわかりましたが、赤ちゃんにとって、「母親といることの幸せ」はあるんだなと感じています。お母さんの腕の中は「第2の子宮」とも言われますし、最初の愛着形成として科学的な見地からも発達に必要なプロセスだそうです。生後7カ月にもなると重いので大変ですが、それでも抱っこを含めて近い距離でのコミュニケーションこそが赤ちゃんにとって重要なのです。

 2015年には、長女を2泊3日の視察に連れて行ったこともあります。当時1歳ちょっとで3日間母親と離れるという状況は、娘の日ごろの様子を見ていると、心理的なトラウマになるかもしれないという判断もありました。このときは、議会の委員長と事務局に相談したところ、「同伴者の費用は自己負担する」「先方の自治体との会議などの際には、同伴者に赤ちゃんを預かってもらう」ことを条件に同行を認めてもらいました。

子育ての方法は誰かから強要されるものではない

―― ご長男を保育園に入れるという選択肢はなかったのでしょうか?

 緒方 私の場合、母乳育児をしているので……。日中は数時間おきに母乳をあげますから、保育園に預けたら授乳ができないのです。私は、人間のおっぱいで人間の子どもを育てるのが自然だと思っています。それは両方の体にとっても必要なことだからです。赤ちゃんは母乳から必要な栄養と免疫をもらいますし、母親も乳腺におっぱいが溜まるとものすごく痛くなったり、乳腺炎になりやすくなったりします。

 ただ、私が強調したいのは、「子育てはそれぞれ」だということ。母乳で育てる私のやり方を他の人に強いるつもりはありませんし、子育ての方法は誰かから強要されるものではないと考えています。親は自分の子どもを愛していますから、子どもが幸せになるような働き方を選びます。周囲が「預けるべきだ」「預けるべきでない」と口を出すよりも、それぞれの家庭に合ったかたちをサポートすることが大事なのです。

 そのためには、多様な選択肢を用意する必要があります。赤ちゃんとなるべく長く一緒に過ごしたいという方には、育児休業が十分に取れるような制度設計にする。あるいは母子を無理に別れさせないで、一緒に職場に連れていける仕組みを考える。逆に早いうちから職場に復帰したいというニーズに対しては、きちんと必要な数の良質な保育園を整備することが重要です。