――「理屈を通す」のに手間取ったキャラクターがいたら教えてください。
八海 今のところいちばん手強かったのは、相手を操作する“マニピュレーター”です。
マニピュレーターが相手だと、わかりやすい解決策がないので、実際に遭遇したら逃げたほうがいいと言われることが多いんです。しかし天使は逃げない(笑)。別の方法を考えるのに苦労しました。
私のマンガは人事コンサルという仕事に興味を持つきっかけづくり
――それぞれの問題社員に対する人見さんのコンサル術だけをまとめても、よい参考書になりそうですよね。
八海 いえ、私のマンガは「人と接する時にこんなやり方があるんだ」と知る入り口や、人事コンサルタントという仕事に興味を持つきっかけづくりにすぎないと思っているので、専門的なことに関してはちゃんと専門書を読んだほうがいいです。
自分のなかでは、いまだに「人事の仕事を、こんなコミカルに描いてしまって大丈夫だろうか」とドキドキしながら描いている部分もあるので、Twitterで人事ご担当者や社労士の方が共感してくれている投稿や、サラリーマンの方が「勉強になった」と言ってくれているつぶやきを見かけると、そんなふうに読んでいただけているんだと嬉しい驚きでいっぱいです。
城 現場の人間からすると、こんなふうに人事コンサルの仕事を広めてくださっているということもすごくありがたいですね。そもそも人事コンサルという仕事があるんだということを知らない人もたくさんいらっしゃるので、八海先生のマンガのおかげで認知度が高まっているのは、本当に嬉しいです。
想像していた以上に大変な仕事
――『ひともんちゃくなら喜んで!』を描かれて、人事や人事コンサルに対するイメージは変わりましたか?
八海 主人公と共に人事トラブルに向き合っていくうちに、人事コンサルタントの仕事は、相手先の会社や対象者によっていろいろ異なり、想像していた以上に大変な仕事なんだとおぼろげながらわかった気がします。私がひとみちゃんの立場になったらあっという間にパニックになりそうなので、それをいつもなさっている人事コンサルの城さんは、本当にすごいなと尊敬します。
まだまだ“ひともんちゃく”はたくさんあるので、ひとみちゃんや「改心」した社員たちがどう対応するか、楽しみに読んでいただけたら嬉しいです。
(取材・構成:相澤洋美)