1ページ目から読む
3/4ページ目

_:色々つらそうなので死にますか?

 

直美:首吊りで2回失敗してるから不安でしかたがないです。

 

_:結び方、緩衝材、高さ、薬、ちゃんと勉強すれば死ねます。

痛いし、苦しい、未遂になると追っている(思っている)人は勉強してないから楽に死ぬ方法が分かっていないだけです。

実際に吊ってみて苦しかったらやめていいので試しに吊ってみますか?

 

直美:あのー、本気で考えますか?

 

_:本気です。安楽死出来るよう、勉強して、道具を揃えて私も吊りましたよ。

 

直美:未遂ですか?

 

_:言葉に語弊がありました。薬を飲まずに、意識がちゃんと飛ぶか確かめました。

私の方法をまとめました。薬を飲み、効いてきたら首に緩衝材を巻き縄をかけ、立ち姿勢もしくは正座姿勢で、血流が止まりやすい位置を探します。顎のラインに沿うようにかけると本当に痛みなく血流が止まります。後は貧血症状が出てきて目の前が暗くなり、ふらふらする状態から意識が飛び死ぬだけです。

私が用意するので、責任持って安楽死させます。

 しかし、翌日に《_》が「大丈夫ですか?」と送っても、直美は返信をせず、実際に会うことをやめた。それは、以前にFacebookで知り合った“30代の医師”の男のことが頭をよぎったからだ。

「レイプだけされて、殺されないかもしれないじゃないですか」

《死にたい》や《_》のアカウントの人物と会ったとしても、性暴力に遭うことを想像したのだ。こうして直美は白石の被害者となることはなかった。ただ、彼女は当時を振り返り、次のようにも話している。

ADVERTISEMENT

事件現場 ©文藝春秋

「あの頃、自分でも『いつ、死のうかな?』と思っていました。もし、あのとき、電話をしていれば、信頼関係ができたかも。そうなったら、(白石のアパートへ)行っていたかもしれません。こんな事件になるのは嫌ですが、自分だけが殺されて、明るみにならずに終わっていればよかった」

(中略)

心境の変化

 2021年8月、私は直美に久しぶりにコンタクトをとった。この年の4月、直美は冒頭の自殺未遂をした私鉄の鉄道の踏切に、再び飛び込みをした。6月にはこれまでと同じ病院に入院もしていたようだった。

 ただ話してみると、これまでとは違う話を聞くことができた。どうやら、人にSOSを出すことができたらしい。直美は「性被害のたびに話を聞いてくれた警察官が話を聞いてくれました」と話してくれた。さらに、退院すると家族関係も安定し、精神的にも穏やかに過ごせているようだった。