1ページ目から読む
2/4ページ目

 直美は警察に被害を相談したが、加害者の検挙は難しかった。その後、病院では心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断。外出もできなくなった直美は、同年6月に高校を中退した。一方で、私が加害者に対して制裁を与えたいかどうか尋ねると、それには躊躇する。どうしても“30代の医師”にも仕事があり、家族や将来があると思ってしまうようだった。

白石とのDM

 さらに、直美は新たな性的被害を受ける。2017年7月の夜、外で男に声をかけられると車内に連れ込まれて、レイプされてしまったのだ。相手は特定されたが、前回のときと同様に逮捕はされていない。直美は、この事件をきっかけに希死念慮が強まり、自殺を考えるようになる。彼女は9月11日に次のようにTwitterでつぶやいた。

 自殺って臓器移植?みたいなの適用できるのかなー?

 すると、《死にたい》というアカウントを利用していた白石から「はい」という返信が届く。やりとりは9月12日からDMに移行。ここから直美と白石の交流が始まる。ちなみに、この翌日の9月13日に白石はDさんとやりとりを始めており、翌日から23日まではYさんがアパートに宿泊していた。犯行に自信がつき、手口が大胆になっていく頃である。

ADVERTISEMENT

白石隆浩死刑囚 ©文藝春秋

直美:おはようございます

 

死にたい:ご連絡ありがとうございます。神奈川に住んでおります。

 

直美:関東一緒ですね。

 

死にたい:自殺をお考えですか?

 

直美:はい

 

死にたい:一緒に死にますか?

 

直美:何歳ですか?

 

死にたい:22歳です。首吊りの道具と薬を用意してあります。

 

直美:殺してもらえないですよね。首絞めて。

 

死にたい:本気で言ってるんですか?

 

直美:首吊り2週間くらい前に失敗してなんかもー首吊りのやり方が失敗するとしか思えなくて。

 このとき、直美は17歳だった。だからだろう。相手の年齢に合わせたほうがよいという供述の通り、白石は22歳と直美に伝えていた(編集部注:白石の当時の実年齢は26歳だった)。

ギリギリで踏みとどまる

 その後、2人のやりとりはカカオトークに移行する。このときの白石のアカウント名は《_》だった。