通算113勝、賞金王12回、日本タイトル19勝など、「ゴルフ界のカリスマ」ジャンボ尾崎氏の実力を裏付ける記録は枚挙にいとまがない。そんなジャンボ尾崎氏は後進選手の指導にも力を入れており、笹生優花選手や原英莉花選手といった優秀なプレイヤーを数多く輩出している名コーチとしても有名だ。
ここでは、ジャンボ軍団の一員として長年ジャンボ尾崎氏を見つめ続けてきた金子柱憲氏による初の「ジャンボ尾崎公認書」である『誰も書けなかった ジャンボ尾崎』(主婦の友社)の一部を抜粋。ジャンボ尾崎氏と原英莉花選手の師弟関係について紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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強い実力者であれ、原英莉花への教え
今、ジャンボのもとには、多くの若手が集まって来ています。中でも原英莉花選手は、ゴルフファンにとって注目の存在の一人でしょう。その原選手も、ジャンボを慕い、軍団の門を叩き、大きく成長しました。
昨年の暮れ、ジャンボが原選手に送ったアドバイスが、今も私の耳に残っています。
「そのままフェードで行けばいいんじゃないか?」
ジャンボのこの一言が、原英莉花選手をよみがえらせたと言っていいでしょう。
2020年11月29日の日曜日。宮崎から原選手優勝の知らせが、ジャンボのところにも届きました。メジャー競技であるJLPGAツアー選手権リコーカップで、初日から首位を走る完全優勝でした。
この大会の前週に行われたエリエール女子オープンの2日目(2020年11月20日)、原選手は右ヒザ痛のため棄権の憂き目に遭っています。その後、治療して2020年最後の試合となるリコーカップに出場するメドは立ちましたが、エリエールの初日は79を叩いて95位で最下位と、調子のほうは決していいとは言えない状態でした。試合後、原選手は、松山から次の試合会場の宮崎へのルートは取らず関東にUターンし、師匠のジャンボを訪ね、教えを乞うことを選んだのです。