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「無名の高校生にこんな可能性を秘めた子がいるんだ」実力者でありながらプロテストには不合格…プロゴルファー原英莉花を導いたジャンボ尾崎の“意外なアドバイス”

『誰も書けなかった ジャンボ尾崎』より #1

2022/02/04
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 その後、ジャンボ邸で原選手は練習するようになりましたが、ジャンボが手取り足取り、細かいアドバイスをしているようには見えませんでした。それよりも、この環境の中で思う存分練習して、周りの刺激を受けながら技術を磨いているように見て取れました。

 その後、高校を卒業し、プロテストに臨みました。当然、彼女のスイングレベルならプロテストに落ちるとは誰も思わなかったのですが、期待とは裏腹に最初のプロテストは不合格でした。

 幸運にもその当時は、プロテストに落ちても単年登録でQT(クォリファイングトーナメント)に出場することが可能でしたので、そこで彼女は上位に入り、翌年の試合の出場権を得たのです。

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 プロテストの不合格は、彼女にとって良い経験になったと思います。出場権を得てからは、実力を遺憾なく発揮し、2020年度には、コロナ禍の中、十数試合しか開催されなかったトーナメントの中で、日本女子オープン、リコーカップとメジャー2勝という燦然たる成績を残しました。

2018JLPGAアワードでは「敢闘賞」を受賞した ©️文藝春秋

ジャンボの原選手への指導方法

 ジャンボ邸での彼女の練習で特徴的なのは、一見練習を楽しんでいるように見えて、練習中でもオンとオフが明瞭であることです。時間が空いた時に周りと雑談を楽しんでいても、一度打席に入ると顔つきが一変します。そこに彼女の集中力の強さを感じます。周りのジュニア選手たちも、こういうところは気づいてほしい。

原英莉花選手 ©️文藝春秋

 性格は明るくサバサバしていて話していても気持ちいい女性です。調子の悪い時でも、悩んでいるというよりも、やりたいことができないもどかしい自分と戦っている感じです。しかし、少なくとも周りを重たい空気にすることはありません。

「弱いところを見せてはいけない」という彼女なりのプロフェッショナルな部分なのでしょう。それが、試合でもプラスに働く要因だと思います。