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「今日は何球打った? やりたくないなら帰れ」ジュニア選手にも容赦ない檄を飛ばす…“ゴルフ界の伝説”ジャンボ尾崎のジュニア指導流儀とは

『誰も書けなかった ジャンボ尾崎』より #2

2022/02/04

ジュニアたちが見ているジャンボの背中

 ジャンボの指導には「愛情」と「厳しさ」が混在しています。どちらか一つでも欠けていたら、素晴らしい指導はできません。ジャンボは自身の経験から、ゴルフは「知性」「理性」「感性」を日々の鍛錬によって培えば、自分よりレベルの高い人間を抜くことができるスポーツだと認識しているのです。

 そしてジャンボは我々の時代も、アカデミーに通うジュニア選手に対しても、ゴルフに対する情熱をその行動によって示してきました。勝負師として、万事において妥協を許さないジャンボの背中を、私たちは見続けてきました。今日では、子供たちのために惜しげもなく練習器具を作ったり、厳しく指導するジャンボの背中から、その情熱を子供たちが確実に感じ取っていることを願うばかりです。

 子供たちが将来、プロになろうと他の職業に就こうとも、ジャンボ邸での経験は決して無駄にはならないでしょう。孫のような子供たちにも真剣に向き合うジャンボの姿は、ほほえましく思えることもありますが、決して甘やかすようなことはしません。なぜならば、自分の教え子たちに希望を持ち、将来日本のゴルフ界を背負って立つと誰よりも信じているからです。

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ジャンボ尾崎氏 ©️文藝春秋

 子供たちは、自分を見てほしいという欲求が強いです。それについて私は、長年にわたるジュニア教室を通じて実感してきました。しかし、ジャンボは最初から、そのような子供の気持ちを察しているかのように、叱咤激励しながら「お前のことは、しっかり見ているぞ」と感じさせているのです。

 叱られている子供の顔を見ていると、なぜか嬉しそうに見えることがあります。それは、素晴らしいことです。

【前編を読む】「無名の高校生にこんな可能性を秘めた子がいるんだ」実力者でありながらプロテストには不合格…プロゴルファー原英莉花を導いたジャンボ尾崎の“意外なアドバイス”

誰も書けなかった ジャンボ尾崎

著:金子 柱憲

主婦の友社

2021年12月18日 発売

「今日は何球打った? やりたくないなら帰れ」ジュニア選手にも容赦ない檄を飛ばす…“ゴルフ界の伝説”ジャンボ尾崎のジュニア指導流儀とは

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