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「今日は何球打った? やりたくないなら帰れ」ジュニア選手にも容赦ない檄を飛ばす…“ゴルフ界の伝説”ジャンボ尾崎のジュニア指導流儀とは

『誰も書けなかった ジャンボ尾崎』より #2

2022/02/04
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ジュニアへの教え

 ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーが2017年に開校して、4年が経ちます。その中でも女子選手は著しい成長を示しています。もちろん、もともと実力のある選手たちではありますが、私も彼女たちがこれほど早期にツアーで活躍するとは思いませんでした。

 では、ジャンボがどのような育成方法をとっているのかを、私なりに分析してみます。

 まず基本的なスタンスとしては、技術的なことよりも練習に対する取り組み方を大切にしています。向上心(練習量)・探求心(集中力)・闘争心(競争)の3つが、基本となっています。

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 ジャンボのところへ来たからといって、全員上手くなるとは限りません。やはりどこで練習するにせよ、向上心(練習量)・探求心(集中力)・闘争心(競争)を意識することが肝要なのです。ジャンボは、その部分を一番子供たちに教えたいのだと思いますし、我々にもそう伝えてきました。もちろん、選手個々にアドバイスも送ります。打撃練習だけでなくトレーニングや素振りなどに関してもすべて、形を重視することよりもスイング力学を重視して教えています。まず、ここを理解しなければ身になるトレーニングや実戦で役立つスイングは構築できない、とジャンボは考えているからです。

ジャンボ尾崎氏 ©️文藝春秋

 子供たちへのアドバイスも単純明快で、複雑な教え方はしません。ですから子供たちにも指導されたことが自然と浸透しやすいのです。多少個性的なスイングをしている子にも、スイング力学的に正しい部分があれば、無理に直そうとはしません。逆に一見きれいなスイングをしている子でも、スイング力学的に間違いがあれば修正させます。10人いればそれぞれ異なるアドバイスをしていますが、それはジャンボの考える「スイング力学」を覚え込ませるためのプロセスなのです。

「 やりたくないなら帰れ」容赦ない檄

 ジャンボがジュニア選手に行う指導法には、主に2つのパターンがあります。

 一つ目は、まだまだ未完成でこれから伸びると思う選手に対して、ジャンボはその練習態度や練習量、集中力というものをすごくよく見ています。そのうちの一つでも欠けた人間には、檄が飛びます。例えば「真剣にプロを目指している人間がこんなこともできないのか!」とか、練習に身が入っていない子には「今日は何球打ったんだ。やりたくないなら帰れ」などと厳しいことも言います。しかし、その檄も、愛情があってこその言葉だと、子供たちは理解していると私は信じています。