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 売上が伸び続ける中、次の施策としてショッピングモール「イーアス沖縄豊崎」に出店を決めた。隣接する「DMMかりゆし水族館」を目玉にした訪日客向けの施設は、シャトルバスで近隣のアウトレットモールからも集客し、沖縄の新しい観光名所としても期待されていた。

イーアス沖縄豊崎の駐車場。地元の人の客足は悪くなかったものの、コロナがなければ観光客のレンタカーと訪日客のバスで駐車場はいっぱいになっていたはずだった。©竹内謙礼

観光が生命線の沖縄を襲った「前年比8割超のマイナス」

 しかし、こちらの新店もコロナで計画が大きく狂うことになる。2020年6月のオープン時には国内の観光客や訪日客も来なくなってしまった。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、沖縄にとって天国から地獄に突き落とされた出来事といえる。沖縄県の観光政策課が発表したデータによると、コロナ前の2018年の観光収入は7340億円に達し、6年連続で過去最高を記録した。観光客数も1000万人を突破し、ハワイと同等の人気を誇るリゾート観光地にまでのぼり詰めた。

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 しかし、コロナの影響を受けた2020年度の4月~9月の沖縄県の観光客数は、前年比81.8%減の97万人まで落ち込む。沖縄県の県内総生産のうち、観光収入が占める割合は20%に達する。他の都道府県が5~10%という現状を考えれば、いかに沖縄県民の生活に観光が重要な収入源になっているのかが分かる。

コロナ前は派手目の色合いのデザインのTシャツが台湾や中国の訪日客に売れていたという。(KUKURU OKINAWA 市場店)©竹内謙礼

 観光客向けのファブリック商品を扱っていたフジタカクリエイションも、コロナで大きな打撃を受けた。6店舗あった直営店のうち5店舗を閉店し、卸も含めた売上もコロナ前とは比べ物にならないほど減少した。

コロナ禍の嵐の「逆転戦略」がたどり着いた“答え”は…

 今は嵐が過ぎ去るのをじっと待つしかない――私自身、沖縄の現状を見てそう思ったが、高里さんの口からは意外な言葉が返ってきた。

「今は自分たちが変われるチャンスだと思っているんです」

コロナ禍でも好調に売れているのはボクサーパンツ。女性が男性へのお土産で購入するという。(KUKURU OKINAWA イーアス沖縄豊崎)©竹内謙礼

 フジタカクリエイションは、コロナ前から沖縄の観光客に依存するビジネスに危機感を持っていた。その思いから、2012年には秋葉原や浅草に沖縄をイメージした手ぬぐいや扇子などを販売する店舗を出店。しかし、業績は振るわず、2年で撤退した。

「沖縄の直営店の売上が好調だったので、本気になって東京の店舗の売上を伸ばす気持ちが足りなかったんです」

 その敗因に気づかせてくれたのが、コロナだった。感染が拡大した2020年から、自分たちの商品の強みをもう一度見直すことを社内で始めた。創業以来の最大の危機を乗り越えるために、スタッフたちが一丸となって必死に考えた。