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 一般的なビジネスであれば、マーケティングは当たり前にやることである。しかし、増え続ける観光客に対して、「考えて売る」という行為の優先順位は低かった。コロナを機にマーケティングの大切さに気付けたことは、払った代償は大きかったものの、かけがえのない経験だったといえる。

観光する人は「どういう人たち」なのかを突き詰めると…

 最後に高里さんに、今後の展望を聞いてみた。

「観光に依存している沖縄ですが、裏を返せば、それだけ沖縄のことを好きな人がたくさんいるという意味でもあると思うんです。今後は観光客が来るのを待って商売をするのではなく、自分たちからも沖縄が好きな人に積極的に商売をしていくスタイルに変わっていかなければいけないと思っています」

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直営店「KUKURU OKINAWA」の看板商品。かわいらしいシーサーをモチーフにしたTシャツはロングセラーとなっている。通販で買い求める人も多いという。©竹内謙礼

本土復帰50年を迎える「メモリアルイヤー」の沖縄

 沖縄県の2022年の未来は明るい。感染の拡大は今もなお続いているが、感染が収まれば、再開するだろうGoToトラベルの後押しもあり、沖縄に活気が戻るのは想定しているよりも早いかもしれない。

 5月15日には沖縄本土復帰50周年を迎えることも大きな起爆剤だ。全国各地で沖縄関連のフェアやイベントが開催されて、そのタイミングに合わせて沖縄県を舞台にしたNHKの朝ドラ「ちむどんどん」の放送も始まる。2022年は沖縄が観光で注目される可能性は非常に高い。

フジタカクリエイションの高里豊吉社長(上段・左から2番目)とスタッフのみなさん。自慢の自社商品を手に持って本社の自社工場にて撮影。©竹内謙礼

 コロナで苦しんだ沖縄に対して「応援消費」もある。コロナの感染者数の増加に胸を痛めているのは、沖縄県民だけではない。沖縄が大好きな人たちも同じように、「沖縄を助けたい」という思いに駆られている。コロナが収束したら、沖縄に足を運び、街で沖縄の商品を見たら購入するような消費が生まれるかもしれない。冒頭で紹介したように、東京や大阪といった大都市を抑えて都道府県の魅力度ランキングで3位に食い込む沖縄は、それだけ多くの人に愛されている。

 日本で最もコロナのダメージを受けた沖縄。しかし、そこでは知恵を絞り、工夫をしながら、必死になってこの危機を乗り越えようとして頑張っている人たちがいる。今はまだもがき苦しんでいる状態だが、コロナが収束した暁には、今まで以上に魅力的になった沖縄を私たちに見せてくれるに違いない。

※本文に出てきた布にプリントする絵画のネットショップ「エノアル」
https://www.rakuten.ne.jp/gold/enoaru/