今年の冬は寒い……! 東京では4年ぶりに大雪警報も出たらしい。

 雪ほど、深い記憶に訴えかける自然現象はない。圧倒的に純粋な白と「溶けてなくなる」という喪失感は生命と死を思わせ、それがしんしんと積もっていく様は、想い出や人生と重なる。

 切なさ、絶望の度合いによって「雪」の降り方は変わる。「吹雪」なんて出てきたら、修羅場を踏んだことが想像できるし、静かに延々と降られても未練が長く残りそうだし、もう大変。クリスマスやゲレンデなどイベントが絡んでこない雪の白は、多くの場合、なかなか深刻なのである。

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 歌のモチーフとしては、ある意味最強。雪をテーマにした超名曲は、時代の節目にドカンと登場する。まるで天から降りてくる「白」がアーティストの才能を浮き上がらせるように!

1996年の名曲「DEPARTURES」

 さて、平成の雪の歌の名曲といえば、1996年に誕生したglobe「DEPARTURES」である。しかも1月1日、正月にリリース。

 1996年といえば、ネットはまだダイヤルアップ接続。ピーヒョロロロロ~……の頃である。世の中は不景気に加え、阪神淡路大震災やオウム事件などが続き、どんよりとした空気が漂っていた。多くの大人たちは疲れきっていた時代。「これからどうなるのだろう」という不安を黄色い声で蹴散らすように、コギャルたちが独自のカルチャーを作っていた。

(右から)globeのKEIKO、小室哲哉、マーク・パンサー(2001年撮影)

 当時のコムロソングの特徴である、どこまでも限りなく高まる音程は、そんな女の子たちのざわめきを象徴するようだ。

 さらに言えば、ボーカルより小室哲哉というプロデューサーが主役の時代。彼の見せどころ、イントロや間奏はどんどん長く複雑になっていく。

 この歌も間奏が長い。しかもマーク・パンサーのラップも入る。「どこまでも~♪」の部分が歌いたくてカラオケに入れたはいいが、間奏で「間が持たねぇ~!!」と消した経験のある人も多かろう。私もその一人である。

「永遠に会えない相手」を思わせる歌詞

 さて、そのマークの英語ラップの部分は何を語っていたのか。「Google翻訳」にかけてみた。

 愛の意味を見つけるために
 真夜中に一人で
 ただあなたに会いたい、ただあなたに感じたい
 ただあなたのそばにいたい
 同じ雪の下で
 同じ月明かりの下で

 クッ……想像以上にエモい!! とてもロマンティックな小説の一文のよう。ヒロインの気持ちを、マークがナレーションしているイメージである。