政治とメディアについて年末から話題になっています。大阪府と読売新聞大阪本社の包括連携協定、立憲民主党がネットメディア「CLP」への資金提供を明らかにしていなかった件、最近では毎日放送(MBS)が元日に放送した番組が「政治的公平性を欠く」と社内の調査チームを発足させることが明らかになった。

 私が同じ頃、年末から感じていたのは当事者によるメディアでの言いっ放しの怖さでした。その年に話題だった人がインタビューに登場して語るのは良いのだが、ギョッとする構成が多かった。

なぜか受賞モード全開の菅氏 

 たとえばこちら。

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『報知社会面大賞!! 菅前首相 「えーウソ!? …感動しております」 総裁選よりコロナ対策優先 手腕再評価の声も』(スポーツ報知2021年12月29日)

©文藝春秋

 スポーツ報知の「社会面大賞」とは1年間の社会面での記事の掲載回数や大きさをランキング化したもので、“多くのライバルを抑え、1位となった”(記事より)のが菅氏だったという。

 ふつうに考えれば首相としてコロナ禍での対応を常に問われ、長男による官僚接待の「利害関係者」問題もあり、さらに日本学術会議問題や東京五輪についてろくに説明もしなかった態度は日々ニュースになって載るだろうと想像できる。しかし記事は「えーウソ!? そうなの? 全く思ってもいないこと。まさに感動しております」と菅氏のコメントを前面に出し、受賞モード全開。さらに総裁選不出馬について、

「最優先でコロナ対策をすると言っていたので、まずはそちらをと判断しました」

 と本人の言いっ放しを載せていた。年末の記事だから「今年もいろいろありました」感があるのはよいとして、数々の論点があった当事者に言わせっ放しで報道側がツッコまないのは読んでいて怖かった。