在学時代から行っていたカレーづくりの魅力を広める活動を行うべく、東京大学大学院農学生命科学研究科に在学中、スパイス初心者のための専門店「香林館(株)」を起ち上げた印度カリー子氏。
これまで、数々の家庭向けカレーレシピを考案してきた同氏が新たに挑戦したのはなんとスープのレシピ。シンプルな工程で、だしも不要。ちょっとしたスパイス使いでつくれる高級感あるスープレシピとはいったいどんなものだろう。印度カリー子氏の新著『印度カリー子のスパイススープ めぐる、ととのう、きれいになる』(世界文化社)の一部を抜粋し、紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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すぐ食べたいときの時短テクニック
●冷凍食品など市販の加工食材を利用する
野菜を洗ったり切ったりの手間が面倒…そんなときは、市販品を賢く活用。冷凍野菜は、旬のものを使っていることが多いので、十分おいしいです。にんにくやしょうがは、すりおろしのチューブタイプを使えば時短にもなります。
●作ったスープは小分けにして冷凍保存をする
紹介するレシピの分量は、約2人分。毎食ずつ作らなくていいように、冷凍保存も可能。フリーザーバッグに入れて冷凍したら、食べるときに温めればOK。仕事から疲れて帰宅したとき、ちょっとおなかが空いたとき、冷蔵庫にあると幸せです。
知っておくと便利! 元気になる野菜とスパイス
「野菜とスパイスを使ったスープを!」とおすすめするのには理由があります。1つ目の理由は、野菜やスパイスには強い抗酸化力があるから。もともと人の体にある抗酸化物質を作る働きは、加齢とともに低下していきます。生活習慣の乱れやストレスで、老化や病気の原因となる活性酸素はさらに増加! そこで助けになるのが、「ファイトケミカル(=抗酸化物質)」という成分。ファイトケミカルは、植物が有する機能成分で、体内に発生した活性酸素を除去することができる、といわれています。つまり、野菜やスパイスを食べれば、それらが持つ抗酸化力を利用して活性酸素を除去することができるのです。ちなみに、アメリカでは早くからがん予防のための食品成分が、どのような機能を果たすかについて科学的に研究されてきました(*1)。野菜やスパイスをとることは、老化を促進させる酸化の防止になり、美肌やアンチエイジングにも! 野菜とスパイスのパワーはとてつもないのです。
*1 日本よりも早くからがんの死亡率が深刻な問題とされてきたアメリカ。1990年にはアメリカ国立がん研究所が「デザイナーフーズ計画」を発表。野菜を中心とした食事にはがん予防に効果があるとし、食習慣の改善で病気を予防しようとする試み。図は、がん予防に効果があると考えられる約40種類の食品を、効果が期待できる順に上から並べたもの。
2つ目の理由が、スープにすると一度にたくさん摂取することができるから。健康や美容によいとわかっていても、生野菜だと大量に食べることはできないし、冬だと胃腸や体を冷やしてしまいます。スープだとより効率的に食べられる上、1年中楽しめる! さらに効能あるスパイスとのかけ算で、栄養も香りも一層充実して飽き知らず。健康にも美容にもいい、体づくりに役立つのが「スパイススープ」なのです。
大切なのは、少しずつでいいので「毎日きちんと」とること。毎日生活しているだけで活性酸素はできてしまうので、習慣的に摂取するのが効果的です。そして、食材をバランスよく食べること。例えば、にんにく、玉ねぎ、ターメリック…と組み合わせるとよいでしょう。スープなら簡単に取り入れられますよね。スパイスでおいしさだって倍増するんですから、魔法のような料理です。