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デーブ・スペクター「埼玉県民と噂されるのに、海が好きではない僕。どうすべき?」――中野信子の人生相談

あなたのお悩み、脳が解決できるかも?

2022/02/10

 みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えします。

中野信子さん ©文藝春秋

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Q 人はなぜ海に魅かれるのか?──テレビプロデューサー・英検1級・デーブ・スペクターからの相談

 たとえば恋をしたり、尊敬できる友だちができたりすると、相手が好きなことを自分も好きになりたいと思うものですね。

 小生は自称外人ですが、埼玉県上尾市生まれとも噂されています。埼玉県には海がなく、小生以外の埼玉県民は遠出した際に電車の窓から海が見えたりすると、「海だ、海だ」と歓喜の声を上げます。

 小生が敬愛する中野信子さんは埼玉県民ではありませんが、大の海好きでスキューバ・ダイビングに夢中です。ひょっとしてダーウィン進化論的に、人間はせっかく上陸したけど、また海に戻る必要があるんですか?

 小生は魚に迷惑をかけたくないから潜らないことにしているのですが、しかし、中野さんや埼玉県民が好きな海なら、小生も好きになりたいと思うのです。どうすれば大して好きでないものを好きになれますか? 小生はどうすれば海が好きになれるんですか? さかなクンに聞いたほうがいいですか?

最新話は発売中の「週刊文春WOMAN 2022年 創刊3周年記念号」に掲載中

中野信子の回答

A デーブさんはシカゴ生まれのシティボーイで、大都市が大好き。だからリゾートがあまりお好きでないんですよね。つい私が「早く海に行きたい」などとつぶやくと、いつも「何で海に潜るの。ぜんぜん意味がわからない」とおっしゃいますね。

 さて、もう一度人類が海に戻るかどうかについて、ちょっと退屈でしょうがマジメな話をしますと、たとえばクジラは陸上哺乳類の子孫であることがわかっています。つまり一回陸に上がってからまた海に戻った種族なんです。地球温暖化も進んでいるようですし、もしかしたら私たちの中からまた海に戻るグループが現れるかもしれませんよ。SFみたいですけど。

 また、私たちは現状、水中では裸眼でモノをはっきり見ることができません。でも、稀に水中でもちゃんと見える人たちがいるんです。ミャンマーのモーケン人は水晶体の屈折率を調整する能力に優れ、ゴーグルなしで海中の魚を見つけて獲ることができます。これからもこういう海に適応した人たちがほかにも出てくる可能性はあると考えるほうが自然です。意外と人類も環境に適応して変わっていくみたいです。