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「チヒロ(娘)がさ。で、コウスケ(息子)がさ」
清水 チヒロ(娘の名前。仮名)がさ。
旦那 チヒロ?
清水 チヒロ。うん。で、コウスケ(息子の名前。仮名)がさ。
旦那 コウスケ? すごいじゃない。チヒロとかコウスケとか言えるようになって。どうして私の名前が言えないかなあ。ハハハ。
清水 うふふふふ。
旦那 でも、少しずつ戻ってきたね。リハビリ病院に入ったら、きっと朝から晩まで訓練だよ。
清水 そうなの?
旦那 だって専門病院だもん。歩く練習も改めてすると思うよ。見学に行った時は、線路みたいな絵が廊下に描いてあって、後ろ向きにまっすぐ歩く訓練をしてた。脳にいいんじゃないのかな。
清水 みがからおそう、おさがす。
旦那 難しそう?
清水 うん。
旦那 やらないわけにはいかないでしょ。お家に帰ったら、いろいろできるように訓練しないと。
清水 まだ、ほら、いったいさいだから。
旦那 まだ病気になったばかりだから、当分病人でいいって? アハハハ。ご飯くらい作ってあげるけど、あなたがつまらないでしょ。「お母さん」と「わかんない」と「お手紙」と「ガンなの?」ばっかりじゃ。