若い人ほど過去を向いている?
用いるデータは社会学者を中心とした「青少年研究会」が2012年に実施した、東京・神戸在住の16歳から49歳までに行ったアンケート調査です(調査の詳細はこちらから)。分析の軸とする項目は以下のような設問です。
Q あなたのふだんの生活態度に、もっとも近いもの1つに〇をしてください。
1 過去を振り返って、いろいろと思いだしながらすごしている
2 いま現在の充実感をもっとも大事にしながら生活している
3 よい未来を迎えられるよう、それに向けて努力をしている
4 何かを深く意識することもなく流れるまま日々を暮らしている
選択肢について、1を「過去志向」、2を「現在志向」、3を「未来志向」、4を「意識せず」としたいと思います。
さて、まずは回答者の社会的属性からみていきます。下図は16歳から22歳、多くの人が就職する23歳以降の20代、30代、40代という区分での傾向差ですが、意外な結果が出ているといえます。若い人ほど過去を向いていて、年を重ねるほど過去を向かず、現在の充実や未来に意識が向くようになっているからです。
未婚者は過去志向、専業主婦は「流れるまま日々を暮らしている」
ただ、このことの解釈はさまざまにできそうですよね。年をとることで、責任のある仕事を任されるようになるとか、自分の家族をもつからこそ将来のことを考えざるをえなくなるといったように。そこで、年齢だけでなく、仕事の状況や婚姻状況なども合わせ、これらのうち一体何が関係しているのかを分析(回帰分析)してみます。
すると、過去志向は「未婚であること」、現在志向は「大学に進学していること」、未来志向は「既婚であること」「現在の暮らし向きがよいこと」、意識せずは「専業主婦であること」がそれぞれ影響しているという結果になりました。いずれにおいても、年齢単体の効果はみられませんでした。これらから、年齢というよりは、年齢に伴って変わってくるライフステージが、過去・現在・未来のどこを向くかに影響しているといえそうです。