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〈昨年の1.5倍の飛散予測〉「花粉の量が増えるほどテストの平均点が下がる」「鼻づまりや目のかゆみで作業能率が20%落ちる」 花粉症とオミクロン“症状の見極めポイント”

本当に有効な治療法は…

2022/02/15
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今すぐこの症状をどうにかしたいという方にはお勧め

――そういえば今年の2月に入り、レーザーによる治療を受けたいと思い近くの耳鼻咽喉科に相談したのですが、今の時期に受けるとかえって症状がひどくなると言われ、お勧めされませんでした。

平野 レーザーで鼻の粘膜を焼き変性させることで、アレルギー反応を起こさなくする治療ですね。今の時期にはレーザー治療をしない医療機関が多いです。レーザーは広く浅く焼くことで治療効果を発揮するのですが、花粉症で粘膜が腫れている時期だと浅く焼いても効果が乏しい可能性があります。また、治療後1~2週間は一時的に鼻づまりがひどくなったり、鼻の中にかさぶたができてしまうため、花粉のシーズンに治療しても治療をした割には効果が感じられないことがあるからです。もちろん、そのダウンタイムさえ乗り切れば2年ほど効果が続きますから、検討されるなら夏から秋か冬ぐらいまでに治療して、翌年の花粉シーズンに備えることをお勧めします。

――そう考えると、今からでも間に合うのがゾレアによる治療ですね。

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平野 はい。花粉の時期は企業にとってちょうど決算の時期にあたると思いますが、花粉症がある場合、鼻づまりや目のかゆみで作業能率が10~20%落ちるという調査報告もあります。仕事が忙しく、今すぐこの症状をどうにかしたいという方にはお勧めです。

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 あとは受験生。「花粉症の子はその年の花粉の量が増えれば増えるほど、テストの平均点が下がった」というデータもあるほど、花粉症は日中の集中力に影響します。このため受験生で希望される方も多いですね。

 現時点ではゾレアはスギ花粉にのみ保険が適用されていますが、2~5月まで打てますから、5月ごろに打った方で、ヒノキにも効いたとおっしゃる患者さんもいますよ。

投与量によって3割負担で月約1~7万円の費用がかかることも

――副作用はないのでしょうか?

平野 注射製剤ですから、打つ際の痛みはありますし、ごくまれですがアナフィラキシーショックが起こる可能性があります。ただし、喘息の治療で10年以上前から使われていて、国際的なガイドラインでも安全性は確立されている薬です。

 デメリットを挙げるとすれば、初診のその日に打てない点です。まず受診をして、その日から約1週間、抗ヒスタミン系の飲み薬や点鼻薬で治療をしても効果が出ない場合、なおかつ血液検査でIgEの値が一定以上の場合など、いくつか条件を満たしたうえではじめてゾレアの治療の適応となります。

 実際はゾレアを希望される方のほとんどが適応になるのですが、なかには自分は重度の花粉症だと思っていたのに、血液検査の値をみたら花粉症ではなかったと、がっかりされる方もいます。

 あとは、費用が高いこと。ゾレアは患者さんの体重やIgEの値によって投与量が決まるのですが、投与量によって3割負担で月約1~7万円の費用がかかります。