『心配しなくていいんだよ。私、寂しくないよ』と夢の中で
爽彩さんの死後、「1度だけ夢の中で会えました」と、母親は初めて穏やかな表情を見せた。
「もともと夢を見ることはほとんどないのですが、昨年のお盆後くらいに1度だけ夢に爽彩が出て来てくれました。すごく不思議な夢で爽彩は『心配しなくていいんだよ。私、寂しくないよ』って話すんです。空の上にある爽彩の家に連れて行かれて、クローゼットに生前、爽彩が着ていた服が掛かっていて、『着せてくれた服しかないから、たまには新しい服を買ってよ。爽彩だけ新しい服がないんだけど』って、いつも通りの口調で言われたんです。そして、『ママがご飯を食べないのはいいけど、爽彩にもお菓子ばかりじゃなくてご飯を毎日あげてよ』って。私が食べれるの?って聞いたら『そういう問題じゃない』って言われて夢から覚めました(笑)。その日に爽彩の新しい服を買って、仏壇の横にお供えしたんですけど、夢に出てきてくれたのは、それが最初で最後です」
市教委は、一刻も早くイジメに関する情報を開示してほしい
仏壇の爽彩さんに手を合わせて調査結果の報告をすることは叶わなかったが、市教委に対しては、2019年のイジメに関する情報を開示してほしいと訴える。
「爽彩がイジメに遭った当時から市教委には弁護士を通じて情報開示を求める書類を送り続けています。報道された翌日の昨年4月16日に、市教委から『弁護士から請求はありましたが、お母さんの気持ちとしても情報開示してほしいですか』と、確認がありました。もちろん、『開示してください』と伝えましたが、それから返事もなく、開示もされていません。何をしても爽彩はもう帰ってきません。でも、私は真実が知りたいです。この1年、いろいろなことがあり、爽彩と向き合う時間がありませんでした。一周忌を終えたら、爽彩のことだけを思って少し静かに暮らしたいと思っています」
旭川には爽彩さんが姿を消した1年前と同じように大雪が降り積もっていた。
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中学2年の少女を死に追いやったのは、誰か?
凄惨なイジメの実態、不可解な学校の対応――。遺族・加害者・関係者に徹底取材した文春オンラインの報道は全国的な反響を呼び、ついに第三者委員会の再調査が決定。北の大地を揺るがした同時進行ドキュメントが「娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件」として書籍化。母の手記「爽彩へ」を収録。
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