1ページ目から読む
2/3ページ目

00年代は「格差カップル」が多かった

 これまでにも、女性が年上のセレブカップルは存在してきた。2000年代では、15歳差で結婚したデミ・ムーアとアシュトン・カッチャー、29歳年下のモデルと交際したマドンナが代表例だろう。

 ただ、近年の特色として、女性も男性もともにトップスターであることが挙げられる。20年前は年上女性側のほうが有名でリッチな「格差カップル」とされるケースが多かったが、今では年下男性のほうが推定年収が高いパターンも珍しくない。

「若い男に手を出す中年女」としてデミ・ムーアがバッシングされた時代と異なり、年齢差を攻撃するメディアも少なくなっている。

ADVERTISEMENT

アシュトン・カッチャーとデミ・ムーア ©️getty

 たとえば、純資産150億円超えとされるラップ界のスーパースター、ドレイクは、30歳であった2017年、アラフィフ歌手ジェニファー・ロペスと交際していたことがある。2人は17歳差だったが、揶揄されるどころか、当時30代だったラッパー、ジャレン・ベントンから「ジェニファーとお近づきになれて羨ましい」とラップされる立場になっていた。

米国では年上妻が急速に増加中

 もちろん、これらは庶民から程遠い、きらびやかな世界の話だ。例に挙げたほとんどのセレブは、若々しくセクシーな美男美女で、相当なお金持ちである。2022年1月、前出ジョナス夫妻は第一子の誕生を報告したが、彼らが選択した代理母出産は、米国において1000万円以上かかると言われている。

 それでも、スターカップルたちの動向は、多少なりとも世相を反映しているようだ。アメリカ社会では、妻が年上の異性婚が急増傾向にある。国立家族結婚研究センター2015年調査によると、妻が夫よりも2歳以上年上の夫婦は50年間で67%増えたそうだ。2010年から2016年にかけては、夫が妻の同年齢以下である初婚ケースが推定34%から37%以上へと上昇。近しい年齢間での異性婚が増え、年上夫が減少するなか、年上妻は急速に増加中とされる。

「年上女性」トレンドを特集するマスメディアも増えていっている。そこで、女性が年上のカップルの増加要因として挙げられるのは、女性の社会進出だ。キャリアある成人女性が増えたため、パートナー男性の経済力が以前ほど重視されなくなったとも語られている。実際、ピュー研究所調査「女性が男性よりも稼いでいる既婚または同棲カップル」の割合は、1980年では12%に過ぎなかったが、2017年では28%であり「男女同等の稼ぎ」組も入れると3割にのぼる(他方で、非高学歴層の非婚化など、異性婚にまつわる社会問題は積み重なっている)。