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私は、単独競技による開催で、公営ギャンブルの対象とするのもありだと思っています。ギャンブルというと、日本では印象が悪く聞こえるかもしれませんが、スポーツを支えるための投資、と考えることはできないでしょうか。選手にベットすることで自分が応援している感覚を得られて、勝てば配当というリターンもある。選手と観客が一体になれるシステムになりうると思うんです」
実際、欧州などでは、サッカーや競馬などを対象に、様々なスポーツイベントの結果を予想し、賭ける「スポーツベッティング」が存在する。アメリカでも一部の州で合法化が進んでいる。
小説内でも、サウジアラビアの王子がこう主張している。
――東京オリンピック・パラリンピックは当初の予算を超える約3兆円の出費を補塡するため、東京都民らの負担がある。建設した各会場の維持費に、今後、毎年十数億単位の税金が投入される。それはスポーツ行政や運営の失敗であり、今もスポーツ自体の魅力は損なわれてはない。投票券を買うのは、ギャンブルというより、その競技やアスリートたちへの支援であり応援である――と。
その舞台で、真のチャンピオンシップが行われるのだとしたら、多くの観客を惹きつけるのではないだろうか。
大迫傑さんの魅力を主人公に重ねて
「登場する日本人ランナーを描くにあたって、大迫傑さんの本を何度も読みました。驚いたのは、あれだけのトップ選手であっても、日々の練習において気持ちをニュートラルに保つことは難しいということでした。