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「税金が投入されるくらいなら、スポーツ競技の公営ギャンブル化、ありではないか?」 “現役復帰表明”の大迫傑への感動が生んだ、アスリートの“応援”方法

「税金が投入されるくらいなら、スポーツ競技の公営ギャンブル化、ありではないか?」 “現役復帰表明”の大迫傑への感動が生んだ、アスリートの“応援”方法

長浦京さん『アキレウスの背中』インタビュー

2022/02/15

source : 文藝出版局

genre : エンタメ, 読書, スポーツ, 国際, 社会

note

 私は、単独競技による開催で、公営ギャンブルの対象とするのもありだと思っています。ギャンブルというと、日本では印象が悪く聞こえるかもしれませんが、スポーツを支えるための投資、と考えることはできないでしょうか。選手にベットすることで自分が応援している感覚を得られて、勝てば配当というリターンもある。選手と観客が一体になれるシステムになりうると思うんです」

 実際、欧州などでは、サッカーや競馬などを対象に、様々なスポーツイベントの結果を予想し、賭ける「スポーツベッティング」が存在する。アメリカでも一部の州で合法化が進んでいる。

 小説内でも、サウジアラビアの王子がこう主張している。

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2021年8月の東京オリンピックで、ゴール直前に歓声に応える大迫傑選手

――東京オリンピック・パラリンピックは当初の予算を超える約3兆円の出費を補塡するため、東京都民らの負担がある。建設した各会場の維持費に、今後、毎年十数億単位の税金が投入される。それはスポーツ行政や運営の失敗であり、今もスポーツ自体の魅力は損なわれてはない。投票券を買うのは、ギャンブルというより、その競技やアスリートたちへの支援であり応援である――と。

 その舞台で、真のチャンピオンシップが行われるのだとしたら、多くの観客を惹きつけるのではないだろうか。

大迫傑さんの魅力を主人公に重ねて

「登場する日本人ランナーを描くにあたって、大迫傑さんの本を何度も読みました。驚いたのは、あれだけのトップ選手であっても、日々の練習において気持ちをニュートラルに保つことは難しいということでした。