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 日々のモチベーションの有無に左右されていては一流になれないという“人間味”と、目標から逆算して練習メニューを作り、それを徹底的に遂行する“常人離れした強さ”を感じました。

アキレウスの背中』(文藝春秋)

 実際に大迫選手のレースを見ると、素直な気持ちで感動してしまう。走る姿にとてつもない魅力があるんです。そのことを脚色せずに描きました。先日、現役復帰することが報じられましたが、大迫選手の美しい走る姿をまた見られることは、とても嬉しいです」

 ゲラを読んだデザイナーが、大迫傑さんの写真展などを開催しているフォトグラファー松本昇大さんに声をかけ、本人の了承も得て、このカバーが実現した。

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 タイトルの由来も興味深い。マラソンやトラック長距離のトップランナーの中には、「アキレウスの背中」を見た人がいる、という逸話がある。自分の前には誰も走っていないはずなのに、誰かの背中が見える。まるで導いてくれるように――。主人公のランナーは、未だ見ぬ、この存在を追い求め、マラソンレースに挑んでいる。

「何かを追求するときには、ロマンが必要だと思っています。夢を追うときにみる神話的なロマン、その象徴が『アキレウスの背中』なんです」

破壊的な国際テロリスト集団からランナーを守れ!

 今作のもう一つの読みどころは、女性刑事が、国際テロリスト集団に立ち向かう、緊迫感あふれるサスペンスであることだ。

 優勝者となれば高額の賞金を得ることができるレースは、アスリートやベットする観戦者たちの熱狂を生み出す。

 スポーツメーカーによる最先端のランニングギアの開発競争は、まるでF1レースのようであり、巨額の金額が動くビジネスであるため、中国やロシアなど大国の思惑も絡み合っていく。

 大会まで1カ月となったとき、レースへの参加をやめなければ、本人および家族の「命にかかわることが起きる」という脅迫状がランナーに届く。

 この捜査にあたるのが、もう一人の主人公の女性刑事だ。新手の犯罪に対応するために、警察庁が発足させたミッション・インテグレイテッド・チーム(MIT)に招集され、リーダーに任命される。