昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「私は五輪関係者なのに」とクレーム、救急車をタクシー代わりに週1で…本当にいる「ヤバい患者」たち

2022/02/21

 都内のクリニックに勤務する看護師の佐藤綾佳さん(仮名、25歳)は、1月に埼玉県ふじみ野市で医師が殺害された立てこもり事件をテレビのニュースで見て衝撃を受けたという。

  殺害されたのは容疑者の母親が利用していた在宅クリニックの主治医で、容疑者は以前から医師の対応に不満を抱いていたと報道されていた。

「ふじみ野市の事件は極端なケースだと思いますが、うちのクリニックにもクレーマーや、暴言を吐く患者さんがたくさんいます。とても他人事と思えなくて」(佐藤さん、以下同)

 医療現場でトラブルを引き起こす患者は「モンスターペイシェント」と呼ばれ、以前から社会問題になっていた。とくにコロナ禍以降、そうしたモンスター患者の話をよく耳にする。

 モンスター患者の実態とはどのようなものなのか。コロナ禍でひっ迫する医療現場でおかしな患者に日々悩まされている医療従事者たちに話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

©iStock.com

◆◆◆

看護師をバカ呼ばわりする自称オリンピック関係者

 オミクロン株の感染拡大を受けてコロナワクチンの3回目接種が始まったが、昨年の1回目接種ではワクチンの供給量不足によって大混乱が生じたのはまだ記憶に新しい。当時、佐藤さんが勤務するクリニックにもワクチン接種の予約電話が殺到。そのうちのひとりに、典型的なモンスター患者がいたのだという。

「50代と思わしき女性だったのですが、『どの種類のワクチンをご希望ですか?』と聞くと、いきなり『あんた、何言っているの? コロナワクチンに決まっているでしょ!』とキレられました。でも、よく知られているように、コロナワクチンと言ってもモデルナ社やアストラゼネカ社など、いくつか種類があります。

 女性にもていねいにそう説明したのですが、『だからコロナワクチンって言っているでしょ! いま電話しているのは、コロナワクチンを打つためだってことがわからないの? あなた、バカなの?』と、こちらの話をまったく聞かずに怒り続けるんです」

 さらに、佐藤さんにとって不運だったのは、全国のワクチン情報を網羅するYahoo! MAPの「新型コロナワクチンマップ」にはワクチンがあると記載されていたにもかかわらず、そのときクリニックのワクチンの在庫が切れてしまっていたことだ。