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「社会と戦ったりするより、人間として幸せになってほしい」両親の反対、妹との決裂、それでも伊藤詩織が会見を開いたワケ

『Black Box』より #2

2022/03/08

source : 文春文庫

genre : ニュース, 社会, 政治, メディア

note

会見に寄せられた批判的な声

 会見を経て、強く感じたことがある。それは、人はなぜ物事のメリット、デメリットばかりに注目するのか? ということだ。

 私の会見に対する批判的な声を見ると、そこには「個人的なメリットがなければ、こんな行動をするはずがない」という物の見方が、はっきりと感じられる。だから、売名、ハニートラップ、政治的意図などについての憶測が出てくるのだろう。

 会見では家族の意向で苗字を伏せたが、それについてもいろいろ詮索され、「在日だからだ」という声もあった。

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 どういうことだろうか? もしそうだったら、このようなことをされてもいいのだろうか?

 私は左翼ではないし、日本人の両親から生まれたので、国籍は日本だ。繰り返すが、私が仮に左翼であっても、民進党の議員であっても、韓国籍であっても、性暴力を受けて良い対象にはならない。そして、そのことで非難の対象になるべきではない。私が誰であろうとも、起こった事実に変わりはないのだ。

Black Box (文春文庫 い 108-1)

伊藤 詩織

文藝春秋

2022年3月8日 発売

「社会と戦ったりするより、人間として幸せになってほしい」両親の反対、妹との決裂、それでも伊藤詩織が会見を開いたワケ

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