カフェでは面接のような雰囲気で、いくつかの質問をされた。
「イメージガールだから過去に何かあると良くないという理由で、水商売経験があるかなどを聞かれた後、ノートに自宅の住所と実家の住所などの個人情報を書くように指示されました。これも、何も疑わずに書いてしまって……。自分のことを“ヒロさん”と呼んでと言われ、これ以降ヒロさんと呼ぶようになりました」
《大川》はこれまで自分が手掛けた仕事だとして、有名アーティストの名前を出し、こう自慢げに話したという。
「E-girlsの『Mr.Snowman』の PVを作ったのは自分で、『僕が衣装をDiorに作らせたんだ』『メンバーは大喜びで衣装を持って帰っていったよ』『スタイリスト顔負けと言われた』などと話していました。他にも、JR東海のCMシリーズ『Xmas Express』を作ったのも自分だと。今回はサントリーのCMだけど、『Xmas Expressも取ってくるから待っててね』という発言もありました」
お手当2000万円以上の“愛人契約”を持ち掛けられ…
一通り仕事の話を終えると《大川》は突然、“愛人契約”とも思える提案を始めた。1年間の“お手当”は2000万円で、それにプラスして毎月150万円と、デートをするたびに500万円を渡す、という条件だったという。
あまりに現実感のない条件だが、A子さんはまたしても《大川》に疑問を持つ機会を逸してしまう。
「仕事をもらう手前断りにくいなということと、正直に言うと高額の提示に驚きながらも目が眩んでしまって……。ただ、あまりに途方もない話なので、返事は曖昧に濁しました」
すると《大川》はこんなエピソードを披露し始めた。
「この条件で、過去にもある女性の面倒をみていたことがあったと。E-girlsのメンバーにも同じ条件で面倒を見た子がいたと話していました。私が住んでいる家のことも聞かれて、普通のアパートですと答えると、『渋谷のパークタワーを借りてあげる、ゆくゆくは家も買ってあげる』とも言われました」
A子さんは愛人契約への返事は濁したまま、「仕事に関しては事務所へ持っていってほしい」と伝え、1時間程度でカフェを後にしたという。A子さんが自宅へ帰って《大川》の名前を検索すると、博報堂のサイトで取締役に名を連ねているのを見つけた。カフェでの話は荒唐無稽だったが、それでますます《小笠原》と《大川》への信頼が増していってしまったようだ。
