「綾乃ちゃんはまだ中学生ぐらいの頃に親を亡くしました。その後は頼れる大人も周りにおらず、弟2人と子供たちだけでひっそり暮らしていたようです。綾乃ちゃんの祖母が玄関口で財布を取り出し、綾乃ちゃんにそっと現金を渡す姿を見たこともありました。子供だけでどうやって暮らしているのか、心配はしましたよ。ただ、やはり他人様の不幸……。次第に名前も忘れ去り、報道を聞いてもすぐにピンときませんでした」(綾乃容疑者の同級生の親)

 親を亡くした子供だけの家族――。弟2人の面倒を1人で見る姉に対して、大人たちから向けられる「可哀そう」という視線は、いつしか孤独を和らげる慰めに変わっていったのだろうか?

綾乃容疑者が通っていた中学校 ©文藝春秋 撮影:上田康太郎

 神奈川県警は2月20日、2019年に当時小学1年生だった雄大君(7)を窒息させて殺害したとして、大和市に住む派遣社員、上田綾乃容疑者(42)を殺人容疑で逮捕した。

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 雄大君以前にも2002年に長男、03年に長女、17年に三男と、綾乃容疑者と2人の男性の間で産まれた子供が相次ぎ死亡していたことが判明。“連続不審死事件”に発展する可能性もある。

次男殺害容疑で逮捕された上田綾乃容疑者 ANNニュースより

死亡後、少なくとも1時間は経ってからの通報だった

 社会部記者が解説する。

「綾乃容疑者は雄大君が死亡した際、『突然苦しみ出して息をしなくなった』と自ら119番通報をしています。ただ、すぐに通報したと綾乃容疑者は話していますが、救急隊が5分後に駆け付けた際には、雄大君の体温はかなり下がっていました。死亡後、少なくとも1時間経ってから通報したと考えられ、辻褄があわないんです。

 また、雄大君の後頭部には皮下出血の痕があったことも分かりました。県警は、綾乃容疑者が雄大君を窒息死させる際に、かなり強い力で鼻と口を塞いだとみて捜査を進めています」

 強固な殺意を窺わせる綾乃容疑者には、故意に我が子に苦しみを与えて関心を集め、自分の心の安定を得る「代理ミュンヒハウゼン症候群」だった可能性が指摘されている。