なぜニセモノが溢れたままになるのか
とまあこんな感じで、中国では起業から村を豊かにするまで、とてもいい話として報じられています。「日本の寡占を打破した!」と喜ぶニュースもあります。いいのかそれで。
では、なぜニセモノが溢れたままになるのか、プロシード国際特許商標事務所の弁理士鈴木康介氏はこのようにコメントしています。
「高級ブランドは、売る場所を選んでいます。例えば、自社が出店しそうな場所でニセモノが売られていたら、本物と思って買われて売り上げが下がりますし、品質が悪ければブランドイメージが傷つきます。一方で、模倣品対策をするとなると、調査会社や法律事務所などを使うため費用がそこそこかかります。このため、自社の顧客が奪われそうなところや、ブランドイメージが傷つきそうなところでは、費用をかけて対策をします。
一方でバッタ屋で売っているものは、本物を買う人とは違う層の人が買います。その人達が本物を買う可能性は低いです。売り上げ自体には影響が低いと考えられるので、模倣対策にかかる費用を考えると対応策をとらないこともあります」
コストをかけて対策しない限り、ニセモノは出続ける
確かに小林製薬もアイリスオーヤマも、中国で本物の商品を売り続けています。本物志向の消費者は、日本企業のそれらを買うかもしれません。しかも中国市場は大きいので、数%だとしても絶対数は非常に大きいですし。
コストをかけて対策しない限り、ニセモノは出続けるでしょう。先に2008年の北京オリンピックを機に版権意識が高まった動画ですが、外国の動画に学習名目で勝手に字幕を付けて配信する「字幕組」と呼ばれるファンサブは、5~10年かけて政府が関係者を逮捕し、該当の字幕組の海賊版コンテンツを一掃しました。これを振り返るに、中国がビンドゥンドゥンのようなオリジナルキャラクター(IP)に力を入れる中、ニセ使い捨てカイロがなくなるには、今後5年から10年はかかるかもしれません。