言葉で表現できない多種多様なニセモノ商品が続々
中国で使い捨てカイロは「暖宝宝(ヌァンバオバオ)」と呼ばれていますが、「暖宝宝」は小林製薬の中国での登録商標であり、その覚えやすいフレーズから使い捨てカイロ自体が中国で「暖宝宝」と呼ばれるようになりました。さすが小林製薬、中国でもネーミング力がスゴイ。
中国で売られる「暖宝宝」のパッケージデザインは、その多くがオレンジの背景にカンガルーの親子が描かれた、アイリスオーヤマの「ぽかぽか家族」に酷似したものとなっています。つまり小林製薬の商品名「暖宝宝」で呼ばれる、アイリスオーヤマの「ぽかぽか家族」のニセモノが大量に売られているわけです。
中国の検索サイト「百度」で「暖宝宝 家族」と検索して、画像一覧を出してみてください。あるいは淘宝網などのECサイトで「暖宝宝 家族」と検索してみてもいいです。もう圧倒されます。「ぽか快楽家族」なんておかしな商品にはじまり、「火゜か火゜か家族」という漢字に半濁点をつけた商品名には、日本人の想像を越えた、日本語を知らないからこその創造力を感じます。他にも言葉で表現できない多種多様なニセモノ商品が出てきます。これが冬に中国全土に流通するのだから恐るべしです。
ニセモノデザインの中には、実は世相を反映しているのも
中国の記事によれば、ぽかぽか家族のイメージはわかりやすいものなので、中国の業者はいち早く市場を開拓するため「拝借」する形でスタート。有名なオリジナルデザインへの「オマージュ」を最大限に発揮し、知的財産権というレッドラインを回避するために、各メーカーは創造力を働かせ、ちょっと異なるデザインを描いたといいます。パッケージロゴを代わりにデザインする企業も登場しました。
本来のカンガルーのオマージュとして、太ったカンガルー、可愛くなったカンガルー、火を噴くドラゴンのほか、ピカチュウまで登場するという本末転倒ぶりを発揮し、さらにそこからの派生で袋がありながら炎を吐く新種「カンガルードラゴン」という新しい動物まで誕生しました。
無数の企業が参加することにより、多種多様なデザインが闇雲にできたわけですが、実は考えられたデザインもあるとのこと。オリジナルで描かれたカンガルーは親子1匹ずつでしたが、時代とともにニセモノに2匹目、3匹目の赤ちゃんカンガルーが登場。さらに子どもが離れフードをかぶってお母さんカンガルーがひとり残される、高齢化社会の現実を暗示するニセカイロも登場しました。ニセモノデザインの中には、実は世相を反映しているのもあるわけですよ。驚きです。