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2022年の論点

「共同富裕」を呼びかけた中国に見え隠れする“皮肉な構図”とは? 習近平が北京五輪の先に描く「赤い未来」

2022/01/02

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 国際, 政治

 2022年に向けた中国の話題といえば、前半の北京冬季オリンピック・パラリンピックと後半に控える20大(第20回中国共産党全国代表大会)だ。日本の興味は主に五輪外交の行方と幹部人事だ。

 前者は、中国と西側先進国との間に発生した人権侵害など、価値観を巡る齟齬がどのレベルまで悪化するのかであり、後者は習近平国家主席による独裁の行方がどう進むのかの見極めだ。外国メディアの興味は往々にして地元の視点とは乖離する。これは北京冬季五輪に関しても同じだ。

 確かに中国は、五輪外交の成果も期待している。北京の夏季五輪を上回る外国首脳が集えば大成功だ。しかし中国が期待する北京冬季五輪の効果はそれだけではない。グローバルな視点からのアピールという意味では、環境問題だ。かつてPM2・5に汚染された北京で五輪が開催できるインパクトは大きい。

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 そして何といっても経済効果だ。チケット収入や広告、観光の話ではない。巨大な国家戦略の一環としての効果だ。

中国の「9大戦略」とは

 中国は長期戦略に長けているが、その特徴が集約されているのが5大国家戦略と4大経済セクターの開発計画だ。2つを併せて9大戦略ともいう。前者は(1)北京・天津・河北省協同発展(以下、協同発展)、(2)長江経済帯発展、(3)広東・香港・マカオ大湾区建設、(4)長三角(長江流域)一体化発展、(5)黄河流域生態保護及びハイクオリティ発展であり、後者は中国を4つの地域(中部、西南部、東部、東北部)に分け、差別化を図りながら発展させる計画だ。このプロジェクトの筆頭に位置付けられるのが協同発展だ。

 つまり北京冬季オリンピックは、「夏と冬に開催した唯一の都市」となる名誉の裏で、長江デルタ、珠江デルタに遅れた北部に新たな経済圏を作り出す構想・協同発展の推進力を生み出す目的を孕んでいるのだ。ちなみに協同発展には1000年都市構想として知られる雄安新区も含まれている。