億万長者の元妻たちによる新たな「タッグ」が米国を席巻しつつある。
1人は、2019年7月に米アマゾン社の創業者ジェフ・ベゾスと離婚したマッケンジー・スコット(51)。もう1人は、2021年8月に米マイクロソフト社の共同創業者ビル・ゲイツと離婚したメリンダ・フレンチ・ゲイツ(57)だ。
2021年8月の時点で、マッケンジーの総資産は590億ドル(約6兆4830億円)、メリンダの総資産は61億ドル(約6700億円)と推定される。億万長者と別れ莫大な資産を保有する2人が初めてタッグを組み、同年7月「2030年までに米国における女性の活躍と地位向上を実現」するためのプロジェクトに4000万ドル(約40億円)を寄付すると発表したのである。具体的には「育児支援の公共インフラ整備」「女性のIT・ソフトウェア専門家育成」「女性の高等教育・キャリア支援」「女性の起業支援」を推進する4つの団体にそれぞれ11000万ドル(約10億円)を寄付するという。
「女性による女性の支援」がトレンド
なぜ彼女たちは、あり余るお金を寄付につぎ込むのか。その理由についてマッケンジーは「変化が必要なシステムによって生み出された富を手放すためのもの」としている。自分たちの元夫が築き上げたシステムから得られた富は不当なものだから還元すべき、とも読める。
かつて米国では裕福な女性による典型的な寄付といえば「夫の金、夫の名」で「夫の出身大学」へ寄付する、あるいは夫の名前を冠した図書館や病院といった公共物を寄贈することであった。しかし近年、「女性による女性の支援」が、フィランソロピー(慈善活動)における女性の活躍とともに新たなトレンドとなっており、彼女たちの行動は象徴的だ。