「成功するチーム」を導き、飛躍させ、歴史に残るイノベーションまで導いたリーダーとは、どのような人物なのか。ジャーナリストのウォルター・アイザックソンは、「デジタル革命史をひもとくと、『良い人柄+優れた能力=良いリーダー』というのはウソだとわかる」という――。

※本稿は、ウォルター・アイザックソン『イノベーターズI』(講談社)の一部を、講談社企画部が再構成したものです。

写真=iStock.com/kuppa_rock ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

アップルは「独創的な天才」と「実践的エンジニア」のチームだった

スティーブ・ジョブズのような独創的な天才型のリーダーは、画期的なアイデアを生み出す。彼らとがっちり組んだ、スティーブ・ウォズニアックのような実践的エンジニアが概念を機械じかけに変えてゆく。さらに技術者とアントレプレナー(起業家)がチームとなって発明を実際の製品に変えるのである。

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では、そんな「成功するチーム」を導き、飛躍させ、歴史に残るイノベーションまで導いたリーダーとは、どのような人物なのだろう? デジタル革命史をひもといてみよう。

デジタル時代、つまり電子機器が私たちの生活のいたるところに埋め込まれる時代が真の意味で誕生したのは、1947年12月16日。この日、ベル研究所のふたりの科学者が数枚の金箔、半導体素材のチップ、折り曲げたクリップから、小さい装置をこしらえることに成功する。この装置「トランジスタ」こそ、蒸気機関が産業革命で果たしたのと同じような役割を、デジタル時代で果たすことになる。

トランジスタを発明した「堕ちたリーダー」

現在もiPhoneから乗用車まであらゆるものに用いられている「トランジスタ」は、20世紀最大の発明と言っていい。

トランジスタの発明によってノーベル賞を受賞したのは、ウォルター・ブラッテン、ジョン・バーディーン、ウイリアム・ショックレーの3名だ。

このチームのリーダーだったショックレーは、歴史に名を残しながらも、「堕ちたリーダー」と評された人物でもある。