マスクをしなければ負け…将棋新ルールに反マスク派棋士の言い分「強制されるのは心外」
マスクを強制されたことによる試合への影響
一方、マスクをつけず、反マスク派の代表的存在と目される棋士がいる。日浦市郎八段(55)。かつて羽生善治九段に強かったことから“マングース”の異名を取ったベテランだ。
日浦八段は小誌に対し、
「コロナについてはかなり勉強した。私はマスクは感染予防に効果がないと考えている。だからマスクをつけないんです」
そう語った上で、不満を表明する。
「そもそもマスクを着ける、着けないは国民にとって任意のはず。強制されるのは心外。新ルールが決まった後でマスクをして二局対局し、負けました。言い訳をするつもりはありませんがマスクを強制された影響はゼロではないと思います」
規定の目的は、反マスク派の棋士たちにマスクを着けてもらうこと
若手理論派の阿部健治郎七段(32)も、新ルールに懐疑的な見解を示す。
「分からないのは対局中は基本的に会話しない棋士がマスクを着けて、感染予防になるのかということ。飛沫なんて飛ばないですよ」
ただ、不安を感じる棋士が多かったのも事実だ。
「肺炎の罹患歴があったり、喘息を持っている棋士もいます。彼らがマスクを着けない相手との対局に不安を感じていたということもあります」(前出・中堅棋士)
規定の目的は、反マスク派の棋士たちにマスクを着けてもらうことだという。
前出の観戦記者はいう。
「反則負けという文言は、いわば抑止力。実際に10分程度マスクを外したからといってただちに反則負けを宣言することはないでしょう。とはいえマスクの問題でこれだけ紛糾するのも、各自が一国一城の主というプライドを持ち、強制を嫌う将棋界ならでは。連盟としても、もうちょっと穏便に進める方法もあったかもしれないが……」
日本将棋連盟に新規定について訊くと、総務担当の森下卓理事が回答した。
「棋士、女流棋士、奨励会員の健康を守るため、やむをえない決定と考えます」
うまく事を収めるのは、対局より難しそう!?