もしもキエフが陥落したら…?
大変なのは赤ちゃんを抱えている若い母親たちです。ミルクやオムツはストックがあっても、子どもが小さいためにキエフから動けず、家の外にもでられない。よくSNSで『私はここにいるから、誰かここに〇〇を持ってきてくれませんか?」といった書き込みを見かけます。それを見たらお互いに足りないものを届けあったりして、助け合っているようです。
――もしキエフが陥落したらどうなるのでしょうか?
ガリーナ どうなるかは私たちもわからないし、だからこそ怖い。おそらく、これまでの当たり前の生活ができなくなるでしょう。噂はSNSでもいろいろ流れていて、本当かどうかわかりませんが、親ロシア派である東部地域の人の中には、ロシア側に騙されてシベリアに住まわされた人もいるという話もまわっています。不安で仕方ありません。
――ロシアに住む親戚やお友達は何か言っていますか?
ガリーナ この8年間、親戚や友人のあいだで政治の話はタブーとなっていました。市民としては、そこを話さなければいい関係でいられた。でも、今回の件ではロシアの知り合いたちは情報が管理されているせいか、随分とフェイクニュースに踊らされています。
「アメリカ人がロシアの軍服を着て、ウクライナを攻撃しているんじゃないか?」「本当はウクライナ人同士の争いなんじゃないのか?」とか……そんな荒唐無稽な話を電話で真剣に聞いてくる友達がいます。
あとはもともと旧ソ連圏だったウクライナ国内では、ロシア人だけでなくウクライナ人も含めてロシア語話者が相当数いるのですが、「ロシア人はウクライナでロシア語を使ってはいけない」「ロシア語をつかってしまうと大変な目にあう」という話を本当に信じている友人もいます。