スマートフォンの普及で、近年家庭からなくなりつつあるものがある。そう、カレンダーだ。渋谷LOFTでは、かつて1階にあったカレンダー売り場が2017年末に4階上りエスカレーター前のスペースに移動し、2019年末には同じ階のエスカレーター脇のさらに狭い場所へと移った。

 今やカレンダーの存立は風前の灯火だ。それでもトイレで鑑賞するのに、毎年買わずにいられないカレンダーがある。ロシア・プーチン大統領のカレンダーだ。

 居間じゃもったいない。トイレで見るのにちょうどいい。なぜなら質感、クオリティ、写真のセレクトにツッコミどころが満載だからだ。プーチンカレンダー愛好家から見て最高傑作だった2019年から見ていこう。

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1年のうち3ヵ月も脱いでいた2019年のプーチン

 2019年のプーチンカレンダーは、渋谷LOFTの売り場で一番目立つところに掲げられていた。上りエスカレーターで4階に着くと、正面に飾られているのがプーチンカレンダーだった。平昌五輪で再び世界を熱狂させた羽生結弦カレンダーよりも手前で展開するとは。恐るべし、プーチン。

 まずは2月。かつて中国の毛沢東が73歳で長江遠泳を全世界に見せつけたように、プーチンも健在ぶりを誇示するために、しばしば「ザ・我慢」の写真を忍ばせてくる。旧共産圏、共産圏国家の為政者お得意の姿だ。

「プーチンカレンダー」2019年2月より

 日本人には、ダチョウ倶楽部の「熱湯風呂」のコントに見えてしまうこの写真、毎年1月に行われるロシアの伝統行事「寒中沐浴」なのだ。ロシア正教会でキリストが洗礼を受けた日とされる「主の洗礼祭」の1月19日、2021年もプーチン大統領は多くの信者同様、氷点下の沐浴で頭まで氷水に浸かった。

 プーチンは上島竜兵よろしく「押すなよ? 押すなよ?」と言ったりしないし、背後のロシア正教会の聖職者もイコン付きの棒でプーチンを極寒の水に沈めたりもしない。ただツッコミどころしかない写真を毎日眺めていると、自然と「プーチンが言いそうなセリフ大喜利」が浮かんできてしまう。トイレタイムが実に楽しいのだ。