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プーチンとの「アドリブ対決」、その勝敗は…

 この1年前の2018年にはプーチンと安倍氏の「アドリブ対決」があった。この年の東方経済フォーラム演説で安倍氏がまず仕掛けた。討論の場で北方領土問題についての見解を尋ねたのだ。

 するとプーチンは「今、思いついた」と言ったあと、

「あらゆる前提条件をつけず、年末までに平和条約を結ぼう」

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「争いのある問題はそのあとで、条約をふまえて解決しようじゃないか」

 プーチンはすかさずたたみかけた。安倍氏は困惑したような笑みを浮かべるだけ(各紙報道より)。自分からアドリブを仕掛けたが見事に切り返されたのである。

©JMPA

 この様子について産経新聞は激おこでした。

《安倍首相は、プーチン氏の提案の直後に、「領土問題の解決なしに平和条約はない」と明確に反論すべきだった。》(社説・2018年9月14日)

 安倍首相に苦言を呈していた。保守派の産経は北方領土問題がからむ安倍ロシア外交については厳しかったことがわかる。

安倍元首相をプーチンのもとへ行かせても意味はない?

 さて、このアドリブ対決で恥をかいた1年後を見てみよう。同じ東方経済フォーラムで「ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」という例の演説が安倍氏から出たのだ。この事実をあらためて考えたい。プーチンにビビったようにも見えてくる。

「安倍政権は北方領土問題を政治利用して、逆にロシアに足元をみられ、利用された。経済協力を優先し、領土問題は棚上げどころか、後退してしまった」(中村逸郎筑波大教授(ロシア政治) 朝日新聞2019年6月3日)

 これらを振り返ると今、安倍元首相をプーチンのもとへ行かせてもあまり意味はないと思える。「外交の安倍の行動力に期待したい」(政界地獄耳)というのはやはり優れた皮肉でした。