ロシアとウクライナの代表団による停戦交渉が2月28日午後、隣国ベラルーシ南東部のゴメリでおこなわれた。ロシア通信によるとウクライナ、ロシア双方が交渉の結果を自国に持ち帰り、改めて対応を協議した後、交渉を再開する可能性があるというが、予断は許されない状況だ。これまで首都キエフの北方30キロに迫っていたロシア軍はさらに5キロ前進した。キエフ都市部では市街戦が激化する可能性もあるという。
ウクライナ在住の日本人によると、同国内に留まっている邦人は28日現在も約120人(安全な国境付近で出国手続きをしている邦人も含む)という。その中には前回の♯1で報じたキエフ在住でウクライナ人の妻をもつ山本幸一さん(仮名・50代)も含まれている。「文春オンライン」は同日、あらためて山本さんに話を聞いた。
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――ロシアによる軍事侵攻がはじまった24日、山本さんは仕事の関係でキエフを離れていました。その後無事、キエフに戻り、家族と再会できたのでしょうか?
「いえ、キエフに向かう列車がキャンセルになり、今もドニエプロ市から少し離れた町に滞在しております。妻や妻の家族とは会えていませんが、毎日電話でやりとりをしています。我が家はキエフの中心地にあります。連日、夜に避難指示がでているようです。昨日は一日じゅう外出禁止令がでていて、妻とその家族は地下のシェルターに避難していたと聞いています」
――シェルターでの避難生活ではどのような苦労があると聞いていますか? 地下の密閉された空間ではコロナ対策も大変でしょうし、トイレや寒さに対する備えは大丈夫なのでしょうか?
「キエフにあるシェルターは旧ソビエト時代につくられた施設が多く、地下深くにつくられているため地上より比較的温かく、トイレなどの設備もあるようです。それに夜にシェルターに避難する際は、自宅でトイレを済ませてから行きますし。コロナに関しては、正直今はそれどころじゃないです。もう気にしている人はほとんどいません。もともとウクライナ全体のワクチン接種率は3割程度で、オミクロン株が流行し始めてからは、「集団免疫を持とう」とする動きをSNSでもよく見かけました。