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想定外の入院、そして…

 産休に入ったばかりの37週目になった当日に妊婦健診があり、「出産はまだ今週中ではないね」と医師に言われたので、ショッピングモールに寄り、好きな物を食べたりのんびり過ごしたりしようとしていた。この数日、前駆陣痛が夜中によく起きていた。前駆陣痛は陣痛の予行みたいなもので、30分以内に治(おさ)まらなければ、陣痛だと判断できる。

 健診に行ったその日の夜も、いつもの前駆陣痛が始まったと思っていたら30分経っても治まらない。念のため病院へ電話をすると「本日、いらっしゃっていましたが、まだ子宮口も開いていないし、前駆陣痛ではないかな?」と助産師さんから言われた。しかし1時間半たってもチクチクした生理痛のような痛みは治まらない。

 もう一度、電話をすると、「心配なら診るので来てください」と言われ、午前0時、入院準備品が入ったバッグ(これは用意できていた! 奇跡)を持って、夫と妹に付き添ってもらって病院へ行った。

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 真夜中で人気(ひとけ)のない病院内。一応NST(赤ちゃんの心拍数などがわかる分娩監視装置)をお腹に巻き、助産師さんが見てくれた。子宮口が4センチ開いていたため、「入院しよっか」の助産師さんの一声で、そのまま入院。そこから生まれるまでの10時間、壮絶な経験でした……。

 テレビによく出てくるような、強烈にいきんで出産している苦しそうな状況しか見たことがなかったので、それよりつらい陣痛の長い痛みには衝撃を受けた。陣痛の痛さったら……産む時の比ではなかった。いきみはじめてから30分で無事生まれ、産声を聞いた時は、やっぱり泣いた。予定日より20日も早いのに3230グラムのまるまる太った元気な男の子。これ以上お腹にいたらどうなってたんだか……。

 出産の翌日、先生が病院まで来てくれた。先生に会うのは3、4日ぶり! 顔を見ると私の心が和らぐのがわかった。生まれたての我が子を抱いてくれて、「かわいいね~」とじっと見つめる先生。

感動の対面 『#寂聴さん』より

 夢なのか?

 先生に私の結婚式に来てもらい、赤ちゃんも抱いてもらえた。

 こんなこと、思ってもなかった。うれしくて胸がじーんとした。

 息子が生まれた日の朝は、大安で快晴だった。これからどんな未来が待っているのだろう。どうかどうか、健康で明るく元気に生きて。