民間人の前澤友作氏(46)が2021年に宇宙旅行を果たしたように、かつては実現不可能と思われていたことが叶う時代になっている。そのひとつが、「成人後に身長を伸ばすこと」だ。
通常、人間の骨の成長は10代がピークといわれ、大人になってから身長を伸ばすことは不可能とされてきた。ところが、《骨延長》と呼ばれる外科手術で、成人後に身長を伸ばす人が増えつつある。
東ヨーロッパ・アルメニア共和国でこの手術を受け、167cmの身長を10cm伸ばした人物がいる。医師のGenさん(30)だ。骨延長の基本の仕組みや、あえてアルメニアでの手術を選んだ理由を尋ねた。(全2回の1回目/2回目を読む)
※記事にはショッキングな写真も含まれます。ご注意ください。
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骨を人工的に切って引き延ばす「骨延長」
――骨延長とはどういうものですか?
Gen 骨には再生能力があり、一度折れるとそこに新しい骨が生まれます。水あめをつけた割りばしを両手に持ち、左右に引っ張る様子をイメージしてもらうとわかりやすいです。
生まれたての骨(仮骨)はゼリーのように柔らかい状態なので、少しずつ引っ張って固定すると、再生した骨は元よりも延びます。これが、骨延長の基本の仕組みです。
――では、骨延長手術は人工的に骨折させてから、再生途中の骨を少しずつ牽引していくもの?
Gen そうです。骨折というより、骨を切断して牽引します。この手術法は旧ソ連の整形外科医・イリザロフが1950年代に考案したもので、僕は2018年、27歳のときにアルメニア共和国で手術を受けました。