経済産業省は9日、岸田政権の目玉政策「経済安全保障推進法案」の責任者だった藤井敏彦・前経済安保法制準備室室長を停職12カ月の懲戒処分にした。決定を受け、藤井氏は辞職を申し出たという。
「週刊文春」は2月17日号と2月24日号で、藤井氏が兼業届を出さずに民間のビジネススクールで講師を務めて報酬を得ていたことや朝日新聞の記者と不倫関係にあること、公用のタクシーチケットを私的に使用していたことを報じた。小誌の取材を受け、2月8日、国家安全保障局は「処分につながる可能性のある行為を把握した」として同氏を更迭していた。
“経済安保のキーマン”だった藤井氏とは一体どんな人物なのか。当時の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2022年2月17日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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岸田政権の目玉政策の一つである「経済安保推進法案」。2月下旬の法案提出に向け、現在、各所との調整が行われている最中だ。それを事務方で取り仕切る責任者である経済安保法制準備室室長を務める藤井敏彦・国家安全保障局担当内閣審議官が、兼業届を出さずに私企業で働き報酬を得ていた疑いがあることや朝日新聞の記者と不倫関係にあることが、「週刊文春」の取材でわかった。「週刊文春」の取材を受けて、2月8日、国家安全保障局は「処分につながる可能性のある行為を把握した」として、藤井氏を更迭した。
藤井氏が働いていたのは、経済学者の中谷巌氏が立ち上げたビジネススクール・不識塾だ。
「不識塾では10カ月のカリキュラムで、将来、経営トップを担うと嘱望されている大手企業の執行役員、部長クラスにリベラルアーツ教育をしている。生徒は中谷氏が取締役や社外取締役を務めた企業などで、定員は30名。年間の授業料は550万円で、5月中旬から翌年2月下旬まで土曜日に定期的に講義が開かれている」(不識塾OB)
講義ではテーマごとに大学教授など“ゲスト講師”が講演するほか、進行や生徒へ指導をする“師範”がいる。藤井氏はこの師範を長年、務めているのだ。塾関係者が明かす。
「中谷氏が師範に招き、2013年からやっています。他の師範は学者や企業幹部なので、官僚の藤井氏からは、違う視点のアドバイスを受けられると生徒からの評判もいい」
だが不識塾では藤井氏が師範をしていることは、表に出さないようにしている。