経済産業省は9日、岸田政権の目玉政策「経済安全保障推進法案」の責任者だった藤井敏彦・前経済安保法制準備室室長を停職12カ月の懲戒処分にした。決定を受け、藤井氏は辞職を申し出たという。
「週刊文春」は2月17日号と2月24日号で、藤井氏が兼業届を出さずに民間のビジネススクールで講師を務めて報酬を得ていたことや朝日新聞の記者と不倫関係にあること、公用のタクシーチケットを私的に使用していたことを報じた。小誌の取材を受け、2月8日、国家安全保障局は「処分につながる可能性のある行為を把握した」として同氏を更迭していた。
“経済安保のキーマン”だった藤井氏とは一体どんな人物なのか。当時の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2022年2月24日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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ビジネススクールで“副業”を続け報酬を得ていた疑いや、朝日新聞政治部の女性記者との不倫疑惑で経済安全保障法案の事務方の責任者を更迭された、藤井敏彦・経済安保法制準備室室長。藤井氏が公用のタクシーチケットを私的に使用していた疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。
私用で使用したタクシー代をチケットで支払う
藤井氏は1月29日の土曜日、ビジネススクール・不識塾で講師の仕事をした後に朝日新聞の記者との週末デートを楽しんだ。
そして週明け1月31日月曜日の17時40分過ぎ、職場を出た公用車が向かった先は、港区芝公園にある高級タワーマンション。藤井氏は大通り沿いで車を降りると、辺りを窺うようにして、マンションへと姿を消した。よほど親しい間柄なのか。食事時に訪れたにも関わらず、藤井氏の手には手土産などは何もない。
「ここは朝日新聞の女性記者の家ではなく、別の女性が住むマンションなのです」(経産省関係者)
そして4時間余り経った22時15分、マンションから出てきた藤井氏は通りでタクシーを拾うと、自宅より2キロほど手前のコンビニの前でタクシーを停車。そして、なんとタクシー代をチケットで支払ったのだった。
過去にチケットの私的な使用で、戒告処分が出たことも
役所の公用車は、20時以降は使えない。そのため、専属の公用車が付く幹部はそれ以降、公用がある場合に限り、タクシーチケットが貰える。飲み会などには使えないが、「公用の勉強会がある」と言えば秘書がすぐに用意してくれる仕組みだ。