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コロナ禍で面会時間はわずか2時間

 瑠璃ちゃんは化学療法を4ヶ月にわたって4クールも行い、抗がん剤の副作用にも苦しんだ。嘔吐、下痢、顔が腫れ上がるといった症状が出て、髪も抜け落ちてしまった。

「同じように抗がん剤を使って、すでに髪が抜けている子たちの相部屋に瑠璃が入ったので、『髪の毛が抜けるのは、みんながお薬を頑張って身体の中に入れて、ばいきんまんをやっつけている証拠なんだよ』と言いました。だから髪が抜けることに対して瑠璃がヤダヤダということはなかったのです。ただ、やっぱり見ているこっちが辛かったです」(同前)

兄弟と3人で撮った写真 家族提供

 コロナ禍による弊害もあった。

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 緊急事態宣言中だったため、病院での面会時間に制限がかかり、1日に許されたのはわずかに2時間。人数制限もかけられていた。涼子さんは少しでも瑠璃ちゃんを元気付けようと、大好きな白雪姫やベル、エルサなどのディズニーのプリンセスの服やパジャマ、ぬいぐるみや、おもちゃなどを差し入れた。

兄からの奇跡のプレゼントを受け取るも…

 そして翌年1月には、瑠璃ちゃんは骨髄移植に挑んだ。骨髄の提供に手を挙げたのは小学1年生の兄だった。

「入院当初から『骨髄移植ありきの処置になるから、ドナーさんを探しましょう』と言われたんです。でも、娘の型と合う人がドナーの中には1人もいなかったんです。それで、夫か私か、息子の骨髄を調べようと言われました。娘の型は、私と主人は半分しか合わなかったのですが、息子がフルマッチ……全部の型があっていたんです。

闘病中の瑠璃ちゃん 家族提供

 でも、嬉しいような、嬉しくないような気持でした。『なんで私じゃなくて息子なんだよ』とか。コロナ流行の影響でドナー数も随分と減っていると主治医から聞いてはいましたが、『何で骨髄バンクにいないんだよ』とか、いろんなことを考えてしまいました。

 でも、息子は妹のことが大好きだから『瑠璃ちゃんのためだったら別に血を取るのなんかなんてことないよ』『僕、瑠璃ちゃんのためなら頑張るよ』って言うんです。移植が近くなってからは、息子も3日間ぐらい入院して、骨髄を採取。それを直接瑠璃に入れました。息子は痛みに一生懸命、耐えていました。『自分が妹を助けるヒーローになるんだ』って……」

闘病中の瑠璃ちゃん 家族提供

 そんな兄からの奇跡的なプレゼントを受けとり、移植手術が終わった3月、瑠璃ちゃんは無事に退院することができた。白血球の数値も病気発症前まで戻っていたという。だが、普通の生活にもどりつつあった6月、再び白血球の数値が悪化した。

 白血病が再発してしまったのだ。

 日本骨髄バンク公式サイトはこちら→https://www.jmdp.or.jp/

※3月12日14時15分、瑠璃ちゃんは息を引き取った。記事を配信した3時間後のことだった。

 涼子さんは記者の取材に「娘は最期まで闘っていました。瑠璃のことを応援してくださったかた、温かい言葉をかけてくださったかた、皆さまに感謝しております」とこたえた。

 瑠璃ちゃんのご冥福をお祈りいたします。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。