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「値上げは家電、車、マンションにも及ぶ」

 こうした値上げラッシュに火をつけるのが、もう1つのロシアの武器「エネルギー」だ。エネルギー価格の上昇で、ビニルハウスで栽培するレタスやトマト、いちごなどへの影響は計り知れない。最終的には家電や車、果てはマンションにまで及ぶと指摘する。

「原油が高騰するペースや為替相場を見れば、半年後にガソリンが現在の1リットル170円前後から200~220円になるのは、決して大げさな予測ではありません。現在政府が議論する、ガソリン税を軽減する『トリガー条項』を発動しても下がるのは25円。輸入品を日本に運ぶには燃料代がかかり、原油高は食品の値上げにも直結します。

2000年頃のプーチン。ロシアの資源を外交のカードとして使ってきた ©️getty

 またロシアは世界屈指の『ガス大国』で、日本の発電の4割は液化天然ガス(LNG)です。LNGの供給が滞れば、電気代やガス代が上昇しますが、それだけではありません。例えば鉄を作るのにも、莫大なエネルギーがかかるのです」

 鉄を含むものは家庭のなかに数限りなくある。冷蔵庫などの白物家電から、車、そしてマンションなどの住宅まで、鉄がなければ形になりえないものばかりだ。

 ©️iStock.com

「例えば昨年には原材料費や物流コストの上昇で、住宅設備大手のLIXILがトイレや浴室、システムキッチンなどの価格を最大4割値上げしました。ウクライナ侵攻で鉄が高騰すれば、こうした値上げラッシュに拍車がかかる恐れがあります。通常、こうした大型商品まで値上げが波及するには1年ぐらいかかりますが、今は『ウクライナ侵攻で原材料が値上げしている』と企業側も説明しやすく、もう少し早く波が到達するかもしれません。

 こうしたインフレ直撃から家計を守る最善策として、車やマンションなど大金が要るモノは早く買った方がいい。食品が値上がるからといって、カップ麺1年分を買い溜めるのは大変ですし、大した節約にもならないと思います」

 こうしたインフレはウクライナ侵攻が終息したとしても、新興国の成長といった「構造的な需要過多」がある限り、長期的には続くと加谷氏は指摘する。

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